日本に凱旋した北米マーケットの大黒柱RAV4池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)

» 2019年04月22日 06時30分 公開
[池田直渡ITmedia]

3種類の四輪駆動システム

 さて、ハードウェアがどうなっているかをざっと説明しよう。基本シャシーはカムリでデビューしたGA-Kプラットフォーム。このシャシーはかなり素養が高いので、試乗前から期待が高まる。

 ちなみに新型RAV4で、もっともユニークなのは、3種の異なる4WDシステムを持っている点だ。北米No.1の金看板があるからこそ可能な贅沢(ぜいたく)だろう。

1モデルに3種類の四駆システムを持つ。図でカップリングと書かれているのが電制多板クラッチ。これを無段階に圧着することでトルクのコントロールを行う

 ハイブリッドモデルに搭載されるシステムはE-Fourで、これは前後駆動輪はプロペラシャフトで物理的につながっていない。フロントはTHS(トヨタハイブリッドシステム)で駆動し、リヤはリヤ専用のモーターによって駆動する電気式の4WDシステムとなっている。従来のE-Fourモデルと違うのは、バッテリーとモーターを強化してリヤの駆動力を大幅に向上させている点だ。

 さて、残る2つはよく似たややこしい名前がついている。「ダイナミックトルクベクタリングAWD」と「ダイナミックトルクコントロール4WD」。長いし混乱の元なのでとりあえず前者をDTV、後者をDTCと呼ぶことにしよう。値段の序列からいえばDTVの方が上位。E-Fourという燃費優先モデルに対して、普通のAWDがDTC、より走りに振ったモデルがDTVとなる。

 DTV、DTC共にプロペラシャフトを持ち、電制多板クラッチを採用するが、その電制多板クラッチの装備数と場所が異なる。DTCはプロペラシャフトに、センターデフ代わりに電制多板クラッチを組み込み、リヤのデフは通常のオープンデフという構成。対してDTVの方はプロベラシャフトにデフを持たず、リヤデフの両サイドに電制多板クラッチを置く構成となっている。

 何が違うかといえば、リヤに一対の電制多板クラッチを備えるDTVは、後輪左右の駆動力配分をアクティブに変えられる。左右のクラッチの圧着圧力を変えることで、外側後輪を内側より強く(速く)駆動することができ、駆動力ーーつまりエンジンの力でクルマを曲げることができる。

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