土肥: 膨大なデータを手に入れて、何をしようと考えているのですか?
永井: データを取得して、どんな改善ができるのか。正直に言って、分かりません。それを知りたくて、店内にAIカメラを設置したんですよね。
欠品管理がどこまでできるのか、サイネージによって購入点数が増えるのか、クーポンによってお客さんはどのような反応を示すのか。どの数字がどのように変化するのか、その傾向を知るためにはまだまだデータが不足しています。傾向を知るために、まずはたくさんの情報を手に入れなければいけないんです。
土肥: PDCA(効率的な業務を行うための手法のひとつ)を回して、想定していなかった数字にも期待していますか?
永井: ですね。例えば、メーカーさんがつくったCMを流して、どのくらい売れるのか。結果、あまり売れなかったとしても、そのことが分かっただけでもいいんですよね。なぜなら、次どうすればいいのかを考えればいいので。CMに関しては、現在、ださいCMをつくっているんですよね。
土肥: ださいCMをつくっている? どういう意味ですか?
永井: 店内できれいなCMを流すよりも、ださいCMのほうが効果があることが分かってきました。テレビのCMってステキですよね。かっこいい俳優さんが出てきて、きれいな女優さんが登場する。もちろん、そうしたCMに効果がものすごくあることは理解しているのですが、スーパーの店内ではちょっと違うんですよね。全く効果がないというわけではないのですが、こちらが期待するほどの効果は出ない傾向があるんです。
土肥: まあ、それはなんとなく分かるような。うまく言えませんが、家のテレビで見ているものと同じCMが流れていても、あまり心に響かない。
永井: じゃあ、どうすればいいのか。「はい、いらっしゃい、いらっしゃい、今日はサンマが安いよ〜」といった感じで、昔からやっているような呼び込みで、臨場感を出すほうが効果があるんですよね。ただ、そうした手法をベースにして、違ったやり方があるかもしれません。現在、それを模索していまして、サイネージで何かできないかと考えています。
例えば、サイネージで「トライアルテレビ、始まるよ〜♪」といった感じで、CMを流しているのですが、それを見た人たちは「なんだこれは。いつの時代なんだよ」と思われるかもれしれません。こうした手法は、成功するかもしれませんし、失敗するかもしれません。失敗しても、それをどのように改善に結び付けることができるのか。このことが大切だと思っているので、これからも失敗を恐れずに、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいですね。
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