土肥: スーパー「トライアル」で買い物をしたことがある人は、「この店に並んでいる商品は、安いなあ」といった印象を受けると思うのですが、消費者の知らないところでさまざまな技術を導入してきたんですよね。業務アプリが入った従業員専用のモバイル端末を導入したり、ポイントカードを発行して購買データを収集したり。
そうした流れの中で、昨年、福岡市のアイランドシティ店で、世間をびっくりさせる店舗が登場しました。店内に700台のカメラを設置していて、人の動きや商品棚をウォッチしただけでなく、スマートレジカートを100台以上導入しました。スマートレジカートの効果はすぐに出ていて、他店と比較すると、人件費を20%ほど抑えることができたそうで。
「さあ、次はどんなことをするのか」と思っていたら、Retail AIという会社をつくって、たくさんの技術者を採用しました。国内で50人、中国で300人が働いていて、あっという間に、小売店での利用に特化した「AIカメラ」を開発しました。このAIカメラを店内に設置することで、店側はどんなこと分かって、どんなことができるのでしょうか?
永田: 新型のカメラはAIを搭載していて、お客さんは男性なのか女性なのか、カートを持っているのか持っていないのか、といった情報に合わせて、店内に設置されたサイネージに最適な広告を表示できるようにしました。例えば、飲料コーナーでカートを持っているお客さんには24缶入りのケースをお勧めすることができますし、買い物カゴを持ったお客さんには6缶パックをお勧めすることができます。
このほかにも過去の購買履歴を分析することで、同じ商品を提案することができるんですよね。例えば、〇〇というビールを購入していれば、そのビールのクーポンを提供することも可能になります。
あと、AIカメラを使って撮影すると、欠品管理ができるようになるんですよね。棚に商品が並んでいることを認識できるので、人気商品が欠品しているのかどうかを検知することができる。これができることによって、店側にどのようなメリットがあるのか。
多くのスーパーは、さまざまな理由で売り上げを伸ばす機会を失っているんですよね。商品を補充する時間が決まっているのでタイミングよく棚に並べることができていなかったり、欠品している商品があるにもかかわらず違う商品を補充していたり――。
いわゆる機会損失をなくすために、店舗はオペレーションを改善させなければいけません。従来であれば「なんとなくこうしたほうがいいかな」といった感じで、これまでの経験に頼っていた部分があったかもしれませんが、AIカメラを使って撮影することで、データに基づいた改善ができるようになるんですよね。
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