懐かしい音と匂いを楽しむ「SL」ハシゴ旅 「もおか号」「SL大樹」を巡る1日杉山淳一の「週刊鉄道経済」GW特別編(4/6 ページ)

» 2019年05月03日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

意外な乗り継ぎルートで「SL大樹」に間に合う

 「もおか号」の茂木到着は午後0時6分。転車台で機関車を方向転換し、折り返し列車の出発は2時26分で下館到着は3時56分だ。SL大樹の下今市発最終便は4時6分。間に合わない。そこで、上りの「もおか号」に乗らず、0時41分発の各駅停車に乗る。鉄道のルートで乗り換えていくと、下館から水戸線で小山、両毛線で栃木、東武特急「リバティけごん」で下今市着4時9分。惜しい、3分差で間に合わない。

 しかし、途中で関東自動車の路線バスを使うと乗り継ぎできる。真岡鐵道の各駅停車で下館には行かず、七井駅で降りる。ここから路線バスで宇都宮へ、さらにJR日光線で今市駅。今市駅と下今市駅は約1キロで、徒歩12分。下今市駅に3時15分に着く。たっぷり余裕の乗り継ぎで、これなら今市で歩かなくても、日光駅まで行って乗り換えられる。久しぶりの日光線だ。終点まで行きたい。

photo 七井駅はモダンな駅舎。真岡線には旧国鉄時代の木造駅舎もある

 七井駅前は広いけれど、路線バスはここには立ち寄らない。駅舎内にバス停留所への道案内が示されていた。駅前の道を進んで約300メートルの場所だ。道の途中にもバス停を示す矢印があった。このくらいの距離、バスが立ち寄ってくれても良さそうだと思う。普段から乗り継ぐ人が少ないようだ。ちなみに停留所名は「七井駅前」である。離れていても駅前。このあたりの人々はスケールが大きい。

photo 七井駅前からバスで宇都宮駅へ。長距離ながら誤差の少ない運行だった

 七井駅前のバスは1時間に1本で、私が乗る便は午後1時18分発、宇都宮駅西口の到着2時9分。乗車時間は50分もある。ルートはほぼ真西へ一直線。しかし、近郊のバスは時間に正確だけど、宇都宮市街地で渋滞に遭遇すると心もとない。宇都宮駅の乗り継ぎは約20分。バスは2分ほど遅れてやってきた。早くも2分マイナス。鬼怒川を渡るところまでは順調だった。しかし、宇都宮大学前あたりから混み始める。宇都宮駅西口到着は5分遅れの2時14分だった。なかなか優秀だ。

 宇都宮駅2時29分発の日光線日光行き。電車は18年4月に投入された観光車両「いろは」だった。これは幸運だ。かつて京葉線で活躍した205系電車を改造し、座席は4人掛けボックスシートと、1人用座席の向かい合わせ、ドア付近にロングシート。座席数を増やすため、片側に4つあった乗降扉のうち中央の2つをつぶして窓を設置している。壁面や吊り手も木材を使った落ち着いたインテリアだ。

photo 日光線の観光電車「いろは」
photo 中央側のドアが塞がれ、窓になっている

 車内は地元の通学生、そして外国人観光客が多い。おそらく、JRグループの訪日観光客向けのフリーきっぷ「ジャパンレールパス」や、JR東日本が独自に販売する「JR EAST PASS」のユーザーだろう。さすが国際観光地日光だ。

photo 「いろは」の車内。京葉線時代とはまるで異なる雰囲気

 日光駅到着は午後3時12分。街のにぎわいを眺めつつ東武日光駅へ。約300メートルの距離で徒歩3分ほど。駅舎内の喫茶コーナーでソフトクリームを食べて少し休憩。3時34分発の区間急行で下今市駅へ。到着は3時43分。「SL大樹5号」がプラットホームにやってくる少し前だった。栃木の2つのSL列車、乗り継ぎ成功だ。

photo 左奥の緑色の屋根が東武日光駅、右手前がJR日光駅

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