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世界最強の政党「中国共産党」の実像――14億人を支配する7人「S級国家・中国」“超速アップグレード”の実相【中編】(2/5 ページ)

» 2019年05月21日 05時00分 公開
[水彩画ITmedia]
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共産党員はエリートか

 上から下まで、みっちりと党組織があるため、党員数も膨大だ。2017年末の時点で約9000万人。14億の中国人の6%以上が共産党員なのだ。改革開放がはじまった1978年時点では約3700万人。約40年で2.5倍とすさまじい勢いで膨張していることが分かる。

 この党員膨張の背景には、社会と中国共産党の変化がある。市場経済を導入した中国では企業経営者や自営業者、中産層などの新たな階層が登場したほか、大学定員も大きく増えた。中国は一党独裁の政治体制だが、独裁とはなにも下々の意見を無視できるという意味ではない。むしろ選挙によって信任されていないだけ、がんばって自らの正当性をアピールする必要があるともいえる。

 そこで中国共産党はさまざまな社会階層を取り込もうと拡大し、その数を増やした。いまでは大卒以上の党員が4300万人に達している。2015年の全国人口サンプル調査によると、大卒以上の学歴を持つ中国人は1億7000万人。大卒に限れば4人に1人は党員だ。名門大学ならばさらに比率は高いだろう。その結果、名門学生ばかりが就職する大企業も社員は党員が多い。

 一方で数が増えれば、党の質も変わる。かつては党員とはエリートの証であったが、いまではちょっといい大学ならば学生でも簡単に党員になれてしまう。党員になったからといって必ずしもメリットがあるわけではないが、「就職向けに資格を一つ増やしておくか」というぐらいの軽いノリで入党する若者も多い。

 それだけに党費未払い(所得に応じて、収入の0.5〜2%程度と決まっている)や党紀違反(共産党員は宗教の信仰が禁じられているが、こっそり信仰を持っている、あるいは風水にどっぷりはまる人もいる)が後を絶たない。企業家もそうだ。会社が大きくなれば、政府との関わりも増える。党員にならないかと勧められて断れないこともあれば、付き合いの一つとして党員になることもあるだろう。

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