2018年、中国大手IT企業の阿里巴巴集団(アリババグループ)の創業者である馬雲(ジャック・マー)が共産党員だったことが判明したとして大きなニュースになったが、中国にくわしい人は「まあ、そうでしょうね」という受け止め方だった。ジャック・マーは政府と一定の距離を置いてきたとはいえ、中国を代表するような企業のトップが党員にならないということは考えづらいからだ。
アリババグループと並ぶ大手IT企業、騰訊控股(テンセント)のトップ、馬化騰(ポニー・マー)も18年、人民服を着て革命聖地を訪問するというパフォーマンスを見せたし、テンセント本社の前には「党とともに起業しよう」というモニュメントまで置かれている。これだけ見ると、テンセントは共産党色どっぷりに見えるが、パフォーマンスと実態は別だ。支配政党の共産党に逆らっても得はないし、怒られないように忠誠を示すパフォーマンスを見せるぐらいはたいした手間ではない。
中国共産党は民間企業にも党組織を設立するよう求めている。どの企業が党組織を設立し、どの企業が設立していないかは公表されていないが、一定以上の規模の会社ならば、政府との付き合いを考えれば党組織をつくっているはずだ。
ただし、党組織があるからといって、その会社が共産党のいいなりかというと、そうではない。申し訳程度に党組織をつくるも活動実態がない企業が多い。結局のところ、9000万人もいれば内情はさまざまだ。ヒラ党員でも志操堅固な人物もいれば、たいした考えもなしに入党したナンチャッテ党員もいる。ちゃんと活動している党支部もあれば幽霊支部もあるわけだ。中国共産党は巨大なピラミッド型構造を持つ組織だが、底辺は結構いい加減といってもいい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング