同様にスマートフォンでも、中国メーカー製品が普及するきっかけがあった。中国の携帯電話は、いわゆるSIMフリーと呼ばれる形態が一般的だった。普通の家電のように端末を購入し、それに携帯電話キャリアと契約したSIMカードを入れて使う。この方式では購入時に端末代を一括で支払わなければならない。高機能なスマートフォンは価格が高いため、なかなか手が出ないわけだ。
12年頃からはじまった新しい販売手法が状況を変えた。携帯電話キャリアが主導して、長期契約と引き換えに、安価に端末を購入できる方式を導入した。日本の携帯端末代を分割払いする方式と似たような形態だ。新方式導入にあたり、中国全土で広告キャンペーンが展開され、その物量で市民にスマートフォンがお得に買えることを認知させたのである。
このキャンペーンでは、ファーウェイやレノボなどの中国メーカー製スマートフォンが1000元(1万6000円)程度で販売された。これは当時としては低価格であり、購入の障壁を下げ、人々は中国メーカー製のスマートフォンを手に取るようになった。そして薄型テレビと同様に所有者のポジティブな口コミにより、中国メーカー製スマートフォンを手にする人が増えていき、中国メーカーは中国市場で外国メーカーを駆逐していった。
さらに、新興スマートフォンメーカーのシャオミが革命を起こした。シャオミのスマートフォンは当初はWebサイトのみで発売された。開発段階で購入できる性能のよい部品を大量に仕入れ、委託生産(OEM)による大量生産でコストを下げた。
それまではニセファミコンもそうだが、各メーカーが「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」の論理でさまざまなデザインの機種を出していた。だが、シャオミは発売を数機種にしぼり、代わりに大量に部品を発注してコストを削減した。
その結果としてシャオミのスマートフォンは、中国国内外の同性能のスマートフォンよりも大幅に安くなった。このコストパフォーマンスは日本人を含め外国人をもうならせた。
またシャオミは製品だけでなく、説明書やWebサイトまでもアイフォーンのそれに似せて作ったので、まねではあったがデザインも悪くなかった。説明書も製品もアイフォーンに追随し、シンプルで分かりやすかった。本体のOSはアンドロイドだったので、意欲的に大胆かつ頻繁なアップデートをおこないやすく、画面などもソフトウェアを改良して使いやすくなっていった。このシャオミの製品を、パッケージや説明書を含め、その後につづく中国メーカーは模倣した。
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