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「ANAの巨大旅客機投入」でハワイに若者を呼び込めるかJALの牙城だった「憧れのリゾート地」(2/4 ページ)

» 2019年05月23日 08時00分 公開
[中西享ITmedia]

25%のシェア狙う

 ANAは現在、ハワイ路線は成田―ホノルル便が毎日2便、羽田―ホノルル路線が1便の計3便を就航させている。5月24日からは成田からの1便をA380に切り替えて(週3往復)、7月1日からはA380を2機投入(週10往復)し、20年までには3機体制にする計画だ。いまはハワイ路線のシェアは約15%だが、3機体制となった時にはシェアは少なくとも25%(年間輸送客数約160万人)は取りたいとしており、ハワイ路線のANAとJALの競争はいやが上にも激化する。

 A380は座席数多く取れるため、ファーストクラスからエコノミーまで幅広い客層の需要に応えられる席を提供できる。ANAは大型機投入を機にホノルル線のサービスを全面的に刷新するなど、力が入っている。日本の航空会社として初めての導入となるのがカウチシートと呼ばれる座席で、32インチ(約81センチ)のシートピッチがあり、3席か4席のレッグレストを上げることにより、ベッドのようにして利用でき、横になって休める。

phot 3席か4席のレッグレストを上げることにより、ベッドのようにして利用でき、横になって休める(ANA ホノルル線「エアバスA380型機」就航発表会より)

スタイリッシュな旅を提供

 ANAの大型機就航を迎え撃つ形になるJALは3月に新しいプランを発表、ハワイで65年間、日本人観光客を相手にビジネスをしてきた航空会社としては負けられない姿勢をみせている。その基本コンセプトになるのは、「Style yourself」(もっと自分のスタイルで思いのままに)で、旅行の多様化、個別化に対応したものだ。自然、暮らし、健康、働き方の変化などを意識して、これまでのものより一歩先の旅を提案しているのが特徴。

 例えば、出張の際に休みを付ける「ブリージャー」という商品を提案した。いままでは、出張の前後に休みを付けることなどは会社の規定で許されなかったが、JALでは「これからはビジネス(出張)とレジャー(観光)を一緒にしたブリージャーという考え方も重要だ」としてビジネスとレジャーを合体させた造語商品「ブリージャー」をハワイ旅行向けに作った。仕事(ワーク)と休み(バケーション)を一緒に取る「ワーケーション」向けの商品も出している。これは、働き方を変えていこうという「働き方改革」の流れにも呼応したもので、旅行商品にもその考え方を取り入れようとしている。

 東京以外からでは、名古屋、大阪からのハワイ路線を持っているほか、コナ(ハワイ島)便も飛ばしている。またハワイ航空と提携しているため、ハワイ諸島内の移動が便利にできる強みがある。

 マイレージの活用もこれまで以上に弾力的な運用を考えており、いままでは利用できなかった時期でも、マイルを積み増して提供すればマイレージが使えるようにするなど、マイレージの利用範囲を拡大する。また家族やグループによる滞在型の旅行も増えることから、8泊以上長期滞在で利用できるお得な運賃や、5泊以上から利用できる特典付きパッケージ商品など多様な旅行スタイルに即したプランを提供することで、日本人客を囲い込もうとしている。

phot ハワイで65年間、日本人観光客を相手にビジネスをしてきたJALとしては負けられない(JALのWebサイトより)

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