男性は、16年3月に大学を卒業し、地盤改良工事などを得意とする建設会社に入社。約10件の現場で経験を積み、16年12月から、東京五輪などに向けて建設中の新国立競技場の現場に配属となりました。
男性が自殺する直前1カ月の時間外労働は200時間超。しかしながら、当初、会社側は「男性の時間外労働は80時間以内」と説明。遺族側が再調査を要求したところ、男性の時間外労働は1月が116時間、2月には193時間まで達していたと訂正したのです。
男性が使用していたPCの電源の記録などから遺族らが割り出した労働時間はこれをさらに上回り、深夜までの労働が常態化しており、17年2月中に3回の徹夜勤務があったことも明らかになっています。
男性は亡くなるひと月前の17年3月、「今日は欠勤する」と会社に連絡した後、突然失踪。4月に長野県内で遺体が発見されたときには、「突然このような形をとってしまい、もうしわけございません。身も心も限界の私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」と記されたメモも見つかりました。
いったいなぜ、心も体も悲鳴をあげ、生きる力がなえるまで働き続けてしまったのか。
とてもとても悲しいことではあるけど、男性が“culture of fear(恐怖の文化)”に蝕まれ、悪いのは非人間的な働き方を“当たり前”にした企業なのに、自分を責めた。そう思えてなりません。
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