「一帯」の重要なインフラとなる鉄道ルートは「中欧班列(チャイナ・レールウェイ・エクスプレス)」と呼ばれている。「チャイナ・ランド・ブリッジ」を一帯一路の主軸に据え、16年に「中欧班列」というブランド名が与えられた。
11年に重慶とドイツ・デュイスブルクを結ぶルートが整備された。どちらも工業都市で、重慶は嘉陵江と長江が合流し、デュイスブルクはライン川とルール川が合流する地域にある。船運と鉄道の連携も可能だ。
「チャイナ・ランド・ブリッジ」の中国欧州便は当初、月1本程度で、11年は年間17本だった。それが中欧班列となった16年には1702本と100倍に増えて、18年には6300本のコンテナ列車を運行した。積荷はヒューレット・パッカード(PC)、デカトロン(スポーツ用品)、ボルボ(自動車)、BMW(自動車、エンジン)などの高単価商品から始まり、現在は玩具、肉加工品、菓子、日用品まで幅広い。ブロックトレインという行き先別コンテナ専用列車方式を採用してからは輸送時間が大幅に短縮され、上海〜ハンブルグ間は25日前後だ。航空便の3倍の日数だが、運賃は半分だ。
中欧班列は複数の鉄道ネットワークによって形成されており、主なルートは「義烏・ロンドン線」と「義烏・マドリード線」だ。この2つは北部回廊のユーラシア・ランドブリッジを基幹としている。17年にはロシアを迂回してアゼルバイジャン、ジョージア、トルコを経由する「バクー・トビリシ・カルス鉄道」が開通した。
日本では経済産業省の委託により、日本通運グループが実証実験を実施した。日通専用のブロックトレインを設定し、中国内陸部の西安とドイツのデュイスブルクを最短15日間で輸送した。
一帯一路のシンボルとなった中欧班列には、実は弱点がある。欧州・中国・ロシアの鉄道は軌間が異なる。そのため、それぞれの規格にあった貨物列車を並べ、コンテナを積み替える作業が必要になる。急激な貨物列車の増発に対して、途中駅の積み替え作業が間に合わず、荷物が渋滞しているという。一帯一路における投資案件は、こうした鉄道インフラの整備もある。
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