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【独占】「ミニ四駆」の生みの親 タミヤ社長が語るプラモデルの未来「ゲームに負けた平成」から“令和の逆襲”へ(2/6 ページ)

» 2019年06月07日 06時35分 公開
[小林昇ITmedia]
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減少するプラモ見本市

――なぜ見本市が減っているのでしょうか?

 インターネットの影響もありますが、私は見本市の開催者の知恵が足りないからだと思っています。入場料が高かったり、もっと人を呼ぶ工夫も必要ですし、メッセそのものの開催意義を考え直す必要があると思います。

 プラモデルは近年小売店が減って、メールオーダーが増えているといわれますが、やはり実物を見てみたい、触ってみたいという欲求が顧客にはあると思います。そのためにも見本市は必要でしょう。

 またホビーショーの商談会の期間中、タミヤでは小売店の皆さんにタミヤ本社に来てもらって、ホールで懇談するパーティーを行っています。普段接することができない小売店の方たちの生の声を聞けるのは、何ものにも代え難い価値のあるものです。

――海外からも多くの客が足を運んでいると聞きます。

 今年は世界20カ国近くの国から、バイヤーがホビーショーを訪れました。もともと、シンガポール、台湾、韓国、インドネシアなどの東南アジアの国々からは熱心に来てくれていたのですが、最近ではドイツ、米国、フランス、英国などからも商談に見えます。訪れたバイヤーはみんな「本当に来て良かったです」と言ってくれます。静岡ホビーショーに来ると、何か得ることがあるのだと思います。その「何か」は人によって違いますけどね。静岡ホビーショーが「世界のホビーショー」となりつつありますね。

 最近感じるのは、ユーロ圏では経済が強い国だけが生き残っているということです。オランダやベルギー、ギリシャに加えてスペインなどでは、取引先がなくなってしまいました。代理店も全てなくなってしまった。プラモデル産業の中でもグローバル化がこれだけ進んでいるということです。僕は「グローバリズムの失敗」だと思っています。ユーロ圏は文化も言葉も違いますから、全ての国が生き残るのは難しいのでしょう。

phot 以下、第58回静岡ホビーショーのタミヤブースで展示されていた同社の製品。やはり戦艦大和は根強い人気がある
phot 1971年に始まったウォーターラインシリーズは、近年『艦隊これくしょん -艦これ-』の人気もあって、新しい顧客が増えているという
phot タミヤはプラモデルメーカーとして初めて独自のオンラインショップを開いた
phot 最新のRC戦車は、エンジン音から砲塔の発射音まで再現している
phot 第二次世界大戦中のレシプロ戦闘機“ウォーバード”は、海外でも人気の商品だ。アイテムによっては海外の方が売れるという

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