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【独占】「ミニ四駆」の生みの親 タミヤ社長が語るプラモデルの未来「ゲームに負けた平成」から“令和の逆襲”へ(5/6 ページ)

» 2019年06月07日 06時35分 公開
[小林昇ITmedia]
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東南アジアで『ダッシュ!四駆郎』が放映

――それはよく覚えています。その頃ミニ四駆で遊んだ子どもたちが現在、30〜40代のお父さんになっているわけですね。

phot 『ダッシュ!四駆郎』(小学館)

 そのお父さん方がまたその子どもと一緒にミニ四駆をやっている。父親が子どもにモノづくりを教えるなんて、今はこのミニ四駆くらいしかない。しかも最近はお母さんも娘も一緒になって、家族ぐるみでミニ四駆を楽しんでいるといいます。競技会に家族そろって来ている姿を見ると私はうれしくてしょうがない。

 ミニ四駆は、いくつかのブームを経て、現在は安定期に入っています。中心となるお客さんは小学生から30代、40代のお父さんまで幅広い。タミヤではミニ四駆の競技会として「ジャパンカップ」という全日本選手権を毎年開催していますが、それ以外にも大型ショッピングモールや、家電量販店、カーディーラーと組んでミニ四駆のイベントをやっています。子どもたちを集める優良イベントと判断してもらっているからでしょう。

 海外でもミニ四駆は好調です。東南アジアは『ダッシュ!四駆郎』のアニメが放映されたこともあって、インドネシアや香港などで人気ですし、最近はニュージーランドや米国からもオファーがくるようになりました。ミニ四駆が世界を席捲(せっけん)している感じですね。

phot 第58回静岡ホビーショーの展示より。ミニ四駆はタミヤの中核商品になりつつある

「理想の教材」プログラミングロボット

――今回、モノづくりを通してプログラミングを学ぶ子ども向けの「プログラミングロボット」の展示を見ました。これは新しい試みですね。

 もともと静岡模型教材協同組合という名前からも分かることですが、静岡のメーカーにとって、模型の教材は昔から取り組んできたものです。タミヤでも「楽しい工作シリーズ」という子ども向けの教材シリーズに取り組んできました。ソーラーカーやムカデロボットなどはヒット商品で今でも売れています。

 今回のプログラミングロボットは、2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されることに合わせて企画されたものです。最新のものは教育用のマイコンボードを搭載、PCからコントロールして動かすことができます。このロボットは楽しみながらプログラミングが学べる理想の教材だと思います。最近タミヤが出したキットは1万円程度と少々高いのですが、電子基板が入っています。どれだけ売れるかは分かりませんが、海外のバイヤーからも高い評価を受けています。

――こうしてお話を聞いていると、新しいプラモデルの方向性がおぼろげながら見えてきますね。

 先ほども言いましたが、日本のモノづくりの伝統はプラモデルを作ることから始まると思います。ミニ四駆は韓国やシンガポール、香港などでは学校の授業で使われています。ところが日本では残念なことに「特定のメーカーのものは授業に使えない」といわれてしまいます。

 プラモデルは子どもたちの教育にも役立つし、想像力を育む。同時に切ったり、削ったり、組み立てたりとモノづくりの基本を教えます。新しい時代に新しいプラモデルの楽しみ方を提供できるように頑張っていきます。令和は「プラモデル逆襲の時代」にしたいですね。

phot 近年タミヤが開発に力を入れるプログラミングロボット。楽しみながら学ばせるというのは重要なコンセプトだ
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