土肥: 開発するにあたって、どんなことから始めたのでしょうか?
川尻: 以前働いていた会社の社長に「ちくぽこ問題を解決してくれるインナーを開発しようと思っています」と相談したところ、「明日、今治市に行くので、ちょっと聞いてみるよ」と言っていただけました。そのときは社交辞令で言ってくれたのかなあと思っていたのですが、実際に聞いてくれていまして、市役所の方とお会いすることになりました。
担当の方に「こんなインナーを開発しようと思っていまして……」とご説明したところ、「おもしろい! ぜひ、やりましょう!」と言っていただき、一緒に研究開発することになりました。
凸凹のある生地を胸のところにつけて、凹みのところに乳首が収まれば、この問題は解決する。このような仮説を立てて、凸凹の生地を探すことに。最初に提案されたのは、クルマのシートなどに使われている生地でした。確かに凸凹しているのですが、カタいんですよね。この生地を胸にあてたら血が出てしまうかもしれないので、違う生地を探すことに。
次に、提案されたのは、ジャージの中綿に使われている素材でした。パッと見ただけで、凹凸があることが分かる。実際に触ってみても、柔らかい。「この素材であれば、いけるのではないか」と考え、試作品をつくってみました。それを試着したところ、胸の部分は優しく包まれているような感じだったんですよ。血が出てくるようなことはない。ただ、ひとつだけ問題がありました。乳首を完全に抑えることができなかったんですよね。
これだと完璧とは言えなかったので、生地を二重にしました。二重にすると分厚くなって、試着すると暑さを感じる。しかし、出るよりも出ないほうを選び、商品が完成しました。
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