インタビュー
» 2019年06月28日 05時00分 公開

熱きシニアたちの「転機」:ワンマン社長の奴隷、3500万円の借金地獄――“31歳無職の男”は「伝説の居酒屋カリスマ」にどう成り上がったのか【前編】 (1/4)

3500万円の借金地獄から、アッという間に大金持ちになった男の波乱万丈な成功物語の前編――。

[猪瀬聖,ITmedia]

連載:熱きシニアたちの「転機」

「定年後」をどう生きるのか――。

「人生100年時代」が到来する中、定年直前になってからリタイア準備を始めるのでは遅い。生涯現役を貫くために、定年後を見据えて「攻めの50代」をいかに過ごすか。新天地を求めてキャリアチェンジした「熱きシニアたち」の転機(ターニングポイント)に迫る。


 山本浩喜さん(56)は学生時代、弁護士を目指していた。ところが、まともに就職もせず、偶然出会った山師のような男性の下で携帯電話の部品作りに携わることに。ある時、男性の無理難題に堪忍袋の緒が切れて袂を分かち、徒手空拳で焼き鳥チェーンを立ち上げたら、それが大当たり。3500万円の借金地獄から、アッという間に大金持ちになった。そんな山本さんの、波乱万丈の成功物語を追った。

phot IFD イズフードデザイン会長の山本浩喜さん

「日本橋 紅とん」の創業者

 山本さんがどれだけすごいか、その一端を紹介しよう。例えば、焼き鳥チェーンの「備長扇屋」や炭火串焼きチェーンの「日本橋 紅とん」を知っている人は多いだろう。両チェーンとも、山本さんが創業し店舗網を広げた後に、現一部上場企業のヴィア・ホールディングスに売却したものだ。また、同じく一部上場企業の物語コーポレーション傘下で、中国で展開するカニ料理チェーン「北海道 蟹の岡田屋」は、最初は青息吐息だったが、山本さんの助言で起死回生し、一躍、中国有数の人気和食チェーンにのし上がった。

 他にも山本さんが直接関係したり影響を与えたりした有名チェーンは数多いが、いろいろなしがらみで名前を公にできないものも少なくない。ただ、山本さんの経営哲学やビジネスモデルを知れば、どのチェーンかだいたい想像がつくことだろう。

 岐阜県生まれの山本さんは、地元の高校を卒業後、弁護士を多く輩出することで知られる東京の中央大学法学部に入学した。山本家はほぼ全員が公務員という家系。両親は、長男である山本さんにも、地元で弁護士か教師になってほしかったという。しかし、山本少年には、周りの大人の安定した人生がとても退屈に見えた。「もっと違う生き方をしたい」。地元を離れ東京に出たのは、そんな理由もあった。

 大学では最初、弁護士を目指して勉強していたが、途中で、弁護士より商売に興味があることに気づいた。ゼミの先生も山本さんの適性を見抜いていたのか、「お前は面白いから、弁護士になるより、弁護士を使う人間になれ」と助言した。

 実際、大学2年の時に起業した。今流行(はや)りの学生起業を、30年以上も前に実践していたのだ。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間