Teamsの基本はグループチャットを通じた情報共有だ。ここでの情報共有やファイル共有を通じて作業を進めていく。前述のようにOffice 365のツールとの連携が重視されていることもあり、これらのソフトウェアを活用する企業ほど効果が高いというのは既に説明した通りだ。
一方で、競合となるSlackなどと比較してTeams独自と呼べる進化を遂げているのがビデオ会議機能である。もともとOffice Communicatorから始まり、Lyncに名称が変更され、Skype for Businessという形でリブランディングされたMicrosoftの企業向けチャットツールが、Teamsにそのまま継承されたと考えればいいだろう。
上の写真は品川にある日本マイクロソフト本社にTeamsの取材を行った際の模様だが、当日別件で訪問先での予定があった取材相手の1人が新宿の喫茶店からTeamsで品川のオフィスへとリモート接続を行い、2拠点間でビデオ会議を行っている。Surface Hubを通じて複数画面を切り替える形で解説が行われ、オンライン共有されたPowerPointファイルを共同作業で編集する様子が紹介されている。
このTeams取材では、相手側の写真が縮小されていることが多かったので例としては分かりにくいが、ビデオ会議の背景をリアルタイムでモザイク加工し、人物のみに焦点を当てることが可能になっている。喫茶店の例では背景に無関係の人が映ってしまうのを防止し、オフィスでの利用例では社外秘の情報が漏れるのを防ぐ効果がある。リアルタイムで切り抜き加工できるのはMicrosoftが進めるAI技術によるものだが、近いうちに別の背景(例えば「南の島」など)を合成する機能も追加されるという。
また、Teamsは専用クライアントが提供されている一方、それとは別にWebブラウザから利用することも可能で、環境に応じて適時使い分けられる。Officeファイルを編集する場合も、そのデバイスにOfficeアプリがインストールされていなくてもWebブラウザのインライン表示でそのまま作業することが可能だ。
もちろん、豊富な機能を利用するにはOfficeアプリを用いることが望ましいが、情報のプレビューや簡単な編集作業であればWebブラウザ経由で利用するOfficeオンラインで問題ない。デバイスもPCだけでなく、スマートフォンやブラウザから利用できる。AndroidやiOSには専用アプリも用意されており、前述のOffice文書のプレビューや簡易編集であれば出先で問題なく行える。
この他、地味な機能ではあるが、チームメンバーのプロファイルをのぞいて、当該の人物にひも付いた情報や組織図をたどる機能も搭載されている。先ほど「TeamsはMicrosoft/Office 365をベースに構築されている」と述べたが、そのセキュリティや検索機能の根幹になっているMicrosoft Graphを通じて必要な情報が任意に取り出せるようになっており、この機能もその一端ということなのだろう。
先日、日本マイクロソフトとソフトバンクの提携が発表され、ソフトバンクの「UniTalk」を通じて、Teamsを使った音声発着信を可能とするサービスが2019年8月1日より始まることが明らかになった。
このサービスでは、1人当たり月額800円で固定電話番号(0AB-J番号)を利用でき、PBXのような内線交換システムなしにTeamsに外線番号を付与できる。TeamsはPCでもスマートフォンでも好きなクライアントの形で利用できるため、オフィスでも外出先でも同じ電話番号で待ち受けや発信が可能になる。
もともと海外の一部地域では既に提供されていた機能だが、今回日本でも同種のサービスがスタートしたことで、単純な文字チャットやファイル共有ツールではなく、音声やビデオも含めたコミュニケーションツールとしてビジネス活用の場が広がっていることが分かるはずだ。
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