Suicaなどの電子マネーに1万円チャージしても、使うときに8000円になってしまっていては安心して利用できない。ビットコインのような暗号通貨にはこんな問題があった。
Libraでは、「主要通貨のバスケット」を裏付けとすることで価格の安定を目指した。
「一番の特徴は価格が法定通貨に対して安定していること。法定通貨と主要国短期国債を裏付けにする。比率はまだ決まっていないが、主要通貨のバスケット構成になっている。価格は多少上下するが、安定するだろう」(志茂氏)
国内の電子マネーでは、法定通貨の1円に対して利用するときは1円の価値で利用できる。全世界での利用を目指すLibraでは、特定の国の通貨ではなく、複数国の通貨を組み合わせたものに対して、連動する価値を維持するかたちだ。
全体としてはビットコインのような価格の乱高下は起きないが、特定の通貨、例えば円に対しては細かく価格が変動することになる。価格が一定なのではなく、「価格があまりブレたりしない」(志茂氏)ということには注意が必要だ。
もうひとつが、Libra協会に参加している大企業の存在だ。
「協会にはVisaやMastercardがいる。Libraをクレジットカードに入れて、カード決済のときにLibraで決済されるのではないか。またECでの決済にはかなり使われるのではないか。協会にUberやeBayが入っている。そこで使われることが想定される」(志茂氏)
海外でクレジットカードを使って買い物をするとき、その日の為替レートにもとづいて日本円で決済されるのが普通だ。二国間の為替レートは変動も大きく、タイミングによっては高い買い物になってしまうこともある。クレジットカードにLibraをチャージして使った場合、その国の通貨とLibraのレートで決済されることになるだろう。通貨バスケットに連動するLibraのほうが価格が安定している可能性がある。
Uberの利用やeBayでの買い物も、Libra建てで決済できれば、事業者側も利用者側も手数料が安くなる可能性がある。
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