ビットコインとLibraは何が違うのか?ビジネスパーソンのための入門Libra(3/3 ページ)

» 2019年07月11日 12時30分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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Libraは本当に決済で使われるのか?

 しかし、こうした工夫だけで本当にLibraは法定通貨に代わって決済に使われるようになるのだろうか? 志茂氏は、国内の決済にはあまりメリットがないだろうと話す。

 「ビットコインと同じで、わざわざ日本円をLibraに変えてそれで支払いをするか? 1000円をLibraに変えるときに手数料を取られて、店舗決済でもまた手数料を取られる」

 Libraを使った決済が威力を発揮するのは、国際間取引とインターネット上の取引にある。例えば、法人間の取引でも、小口の輸入業をやっていて支払いをLibraで行うということはあるかもしれないと志茂氏はいう。

法定通貨とLibra、ビットコインを、用途ごとに向き不向きをまとめた表(=FLOC主催志茂氏の講演資料より)

 Libraのポテンシャルが最も生きるのがインターネット上での決済だ。

 「海外のお金がない人が、お金がないのにLibraを買うのか? オンライン上で稼ぐ仕組みができてLibraで支払われたときに、Libraが使われる理由が出てくる。ビットコインで(決済の普及を目指して)やってきた人たちを見ると、そういった世界を作らないと、難しい」

 例えばUberの運転手をやってLibraを稼ぎ、そのLibraを使ってeBayで買い物をしたり、Visaにチャージしてスーパーマーケットで買い物をしたりという世界だ。インターネットの中を中心として、そこで収入から支出までがLibraで完結する。こうした経済圏を作り出す可能性をLibraは秘めている。

 「ネットでLibraを稼いで、ネットでLibraを使う世界観が現れるのではないか。物理的な世界ではなく、インターネット内で使われる通貨になるのではないか」(志茂氏)

技術的な観点で、Libraとビットコイン、イーサリアムを比較したもの(=FLOC主催志茂氏の講演資料より)
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