ニュース
» 2019年07月17日 07時15分 公開

“いま”が分かるビジネス塾:結婚式場のメルパルク炎上に見る、日本企業特有の「根深い欠陥」とは (3/3)

[加谷珪一,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

「スケープゴート探し」優先する日本の企業風土

 一連の話は、単なるコミュニケーション・テクニックに関する議論と見なされがちだが、筆者はそうではないと考える。これはテクニカルな話ではなく、意思決定における論理性という経営に直結する問題である。

 日本社会は、基本的に陰湿であり、かつ目的意識が希薄という特徴がある。このため、何かトラブルが発生しても、解決が最優先されず、スケープゴート探しに血道を上げてしまう。このため、問題の当事者となった人は、状況のいかんに関わらず「自分は悪くない」と声高に主張するケースが多いのだ。非を認めて謝れば済むところを問題がこじれてしまうのは、こうした土壌が存在しているからである。

 諸外国のビジネスパーソンは絶対に謝らないというイメージが流布しているが、実態は少々異なる。日本のように卑屈な態度で謝罪することも、それを要求されることも無いが、非があったり、改善すべき点があったりすればストレートに認める人は多く、それ以上のトラブルには発展しにくい。

 組織内部で責任を押しつけ合う日本の社会風土は、企業全体の意思決定にも大きな影響を及ぼしており、対外的な声明にも、自身の正当性に関する主張が全面に出てしまう。

 これは日本人の思考回路そのものの問題なので、コミュニケーション論について教科書的に学んだところで対応できるものではない。企業が本当に炎上を回避したいと思っているのであれば、小手先のテクニックを学ぶのではなく、価値観そのものを転換させる必要がある。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。

 著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間