先日から問題になっている吉本興業(以下、吉本)の闇営業トラブルについて、雨上がり決死隊の宮迫博之氏と、ロンドンブーツ1号2号の田村亮氏が7月20日、謝罪会見を行った。
会見の内容についてダウンタウンの松本人志氏は、知らないことが多数あって自分もだまされていた気分だと、予定を変更して生放送で行われたワイドナショーで発言をするほど、問題のある情報が多数出ている。
特に注目された発言が、「在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫といわれた」という田村氏の発言だ。
吉本は2009年に上場を廃止しており、現在はテレビ各局が大株主に名を連ねていることは間違いない。しかし田村氏は「何が大丈夫なんだ?」と、不信感がさらに増したと発言している。大丈夫とは一体どういう意味なのか。
筆者はFPとして資産運用や株式投資のアドバイスもしている。そんな立場から見ると、テレビ各局が吉本の大株主であることは、「大丈夫」どころか極めて危ない状況だ。吉本の経営者にとっても、そしてテレビ局にとってもだ。
会見の流れを聞いても、この発言をしたのは吉本の社員なのか役員なのか不明だが、非常事態に吉本側からこのような発言が出ること自体が、テレビ局との関係を吉本が勘違いしていることの表れだ。
闇営業トラブルから始まる今回の騒動には多数の要素が入り組んでいるが、会見を受けてビジネスの視点から考えてみたい。
松本氏は同じくワイドナショーで、「現在の社長は過去に僕のマネージャーを務めていた。20年前から本人に、言葉遣いが横暴なところが気になると指摘していた」と発言している。今の吉本について、テレビ局に大名商売をしているとも発言している(おそらく「殿様商売」)。
「テレビ局が株主だから大丈夫」発言、社長の個人的な資質、そしてテレビ局との関係など、これらすべてが吉本の現在の状況を表しているのではないか。一言でいえば勘違いだ。
多数の人気タレントを抱えてテレビ局に対して強い影響力がある、それ自体はなんら問題ない。むしろ経営努力の賜物だろう。問題は、力関係やパワーバランスの偏りを笠に着て横暴な態度に出ることや、過剰な忖度(そんたく)を生んだり圧力になったりするケースだ。
では注目された「テレビ局が株主だから大丈夫」発言はどういう意図があったのだろうか。田村氏が意味不明で不快な発言として受け止めたように、すでに筆者が指摘した通り「勘違い」ということになる。ただし、組織の体質という表現を筆者は基本的に好まない。組織を構成するのはあくまで個人だ。勘違いは個人個人の意識に宿っている。
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