では、日本中の人々に「爆笑」を届けてきた吉本興業ともあろう人々が、なぜ会見ではここまでサムいことになってしまうのか。
いろいろなご意見があるだろうが、これまで報道対策アドバイザーとして、この手のサムい対応をする不祥事企業の内部を見てきた立場で言わせていただくと、これは吉本興業が「既得権益」でメシが食えてしまっていることが大きい。
今回、亮さんがポロッと言ったように、吉本興業の株主は在京5社、在阪5社のテレビ局である。じゃあテレビ局に対して頭が上がらない立場かというと、そんなことはなく、吉本がいなければ、テレビ局は明石家さんまさん、松本人志さんをはじめ多くの人気芸人が調達できないので、持ちつ持たれつの関係だ。
要するに、「資本」と「芸人」をテレビ局と吉本で互いに持ち合うことで、強固なアライアンスを結び、他の新規参入を阻み共存共栄していく「既得権益集団」をつくっているということである。このような「ムラ社会」特有の閉鎖的なカルチャーが、世間が「はあ?」と首を傾げるおサムい対応の原因なのだ。
「原子力ムラ」「製薬ムラ」なんて言葉をググってもらえば分かるが、基本的に既得権益集団に頭までどっぷりと浸かっている企業は、「世間からどう見られている」という意識が希薄になっていく。これは冷静に考えれば当然で、既得権益を握っている限り、新規参入に脅かされることもないし、「ムラ」の内部で安定的に仕事がまわってくるので、世論に忖度(そんたく)する理由がない。
「霞ヶ関ムラ」の中で死ぬまで生きる「上級国民」の皆さんを思い浮かべれば分かりやすい。彼らが、我々一般国民とズレまくった発言をしたり、しょうもない不正やうそを繰り返したりするのは、どんなに世論から叩かれても「ムラ」の中で安泰だからだ。
そう考えれば、同じく「芸能ムラ」の中でテレビ局とズブ……ではなくWin-Winの関係を築いている吉本興業が、宮迫さんと亮さんの「謝罪会見」を全力で潰しにかかったというのは、ちっともおかしな話ではないのだ。
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