吉本興業がテレビ業界から干される日専門家のイロメガネ(3/7 ページ)

» 2019年08月02日 07時12分 公開
[中嶋よしふみITmedia]

弁護士と暴力団の見解が一致

 筆者は一連のトラブルを芸人個人の問題ではない、闇営業を放置した組織の問題、そんな吉本を放置するのならテレビ局へと飛び火すると度々指摘した。放送免許を取得して経営する以上は、総務省からも厳しい対応を迫られるのではないかと書いた。

 前述の通り謝罪会見後、日テレは他局より厳しい対応を見せており、総務省は動いていないが公取委はすでに動いた。

 筆者の芸能界に関する知識は、一般の視聴者と大差のないレベルだ。それでも一連の騒動の方向性を言い当てることができた理由は、芸能界の問題ではなく、ビジネスのロジックで常識的に判断すればどうなるか? と考えたからだ。そして筆者とまるでシンクロしたかのように、ほとんど同じ論調で吉本を批判する人がいる。

 一人は弁護士の郷原信朗氏だ。吉本が反社とのトラブルを抱えて、芸人と契約書を交わさない状況を今後も続けるのであれば、下請け法に反する。この状況が是正されなければ、テレビ局や教育事業に100億円も拠出した政府と今後取引ができなくななる、と指摘する。(参照 "吉本興業下請法違反"が、テレビ局、政府に与える重大な影響 ヤフー!ニュース個人・郷原信郎 2019年7月23日)

 もう一人は暴力団の組長だった過去を自ら暴露し、各種メディアやSNSで猫組長のハンドルネームを持つ人物だ。芸人や吉本の責任はもちろん、テレビ局についても上場企業として、そして総務省から認可を受けて事業を行う企業として、社会的責任は重く、株主として吉本に改善を迫らなければ共犯者になると指摘する。(参照 「吉本・芸人・テレビ局、君ら『全員アウト』やで」元経済ヤクザ語る ダイヤモンドオンライン 2019年7月24)

 内容は筆者以上に深く切り込んでいるが、趣旨はほとんど同じだ。筆者の記事が会見と同日の22日(掲載時間は会見直前)、そして両者の記事が23日と24日に公開されていることから、互いの記事を参照するのは不可能なタイミングだ。両者に面識があるかは知らないが、少なくとも筆者はどちらにも面識はない。

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