さて、ダイハツは2017年3月にリブランディングを行った。新しいキャッチコピーは「Light you up」。当時会見に臨んだ三井正則社長(現会長)は「お客さまに寄り添う、つまりユーザーオリエンテッドな姿勢は、1957年のミゼットから続くダイハツならではの原点であります。この原点を忘れることなく、1ミリ、1グラム、1円にこだわり抜き、今後も軽および軽直上のコンパクトカーを含めたスモールカー市場に、ダイハツらしい商品を供給し続けてまいります」と述べた。
非常にダイハツらしいリブランディングである。日本の自動車メーカーで「ファン to ドライブ」を主張しないメーカーは、おそらくダイハツだけである。もちろん例外的には軽のスポーツカー「コペン」もあり、そのコペンがまた目覚ましいハンドリングカーなので話はややこしいのだが、ダイハツの原点が軽三輪トラックのミゼットであるというのは本当に分かりやすい。ミゼットは、モータリゼーションの普及から取り残された個人商店主たちの配達のアシとして企画された。自転車とリヤカーに変わる安価で便利な道具である。
ダイハツは日本最古の自動車メーカーであり、明治40年当時、輸入に頼っていたエンジンを国産化すべく、大阪高等工業学校(現在の大阪大学工学部)の学者や技術者が立ち上げた「発動機製造株式会社」が原点だ。ダイハツ自身の説明によれば「日本の近代工業化が進む中、自分たちの手で発動機を作ろう、日本の産業に貢献しようという学者や技術者の熱い思いが、現在のダイハツの礎となっています」ということになる。根底に流れているのは国民のためのエンジニアリングなのだ。
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