台風15号の朝、「振り替え輸送」が実施されなかった理由杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/5 ページ)

» 2019年09月20日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

利用者の最善策は「休む」

 出版社営業職時代の私は、仕事は好きだったけれども、適度にズボラというか、クソ真面目ではなかったというか。こんな時は会社や関係先に電話して有給休暇宣言したものだ。上司も同僚も取引先もおおらかだったから「明日になったら仕切り直しましょう」で済んだ。今はそんなことすら許されないのだろうか。

 もっとも、定期刊行雑誌は締め切り厳守。印刷所を相手にする部門は相当に焦っていたと思う。勤勉な方々が勤務先や学校にたどり着けず焦る気持ちは分かる。ただし、それも限度があるだろう。

 20年以上昔の当時より、現在はネットが普及し、自宅でもシェアオフィスでも、私の場合はネットカフェでもPCがつながれば仕事を継続できる。業務について、自分の裁量が大きい場合は「休む」あるいは「出社しない」という判断も必要。在宅勤務が最善だ。鉄道会社が安全に配慮するように、鉄道利用者も鉄道施設に滞留する危険性を考慮したほうがいい。

 もし、本当に出社してほしいと会社が判断するなら、タクシー代を会社が負担するから出社せよ、と命じるはずだ。担当者の不在で何千万円、何億円の損害が出る場合、私が社長ならヘリコプターをチャーターする。極論すれば、そこまで会社に思われていない立場なら、無理に出社する必要はない。自分を見つめ直す良い機会かもしれない。

利用者も危険を考慮して「出社しない」と判断することが必要(写真は記事と関係ありません)

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