振り替え輸送の実施判断は「安全が確保できるか」による。
例えば、A社の路線で事故が発生したとする。各駅から乗客滞留の報告が上がる。今後、さらに滞留客が増えるかもしれない。そこで、A社の運行管理者は、B社など並行する同業他社に振り替え輸送を要請する。この時点ではまだ振り替え輸送は実施されない。
B社の運行管理者は、A社からの要請を受けると安全管理者に相談する。安全管理者は自社の運行状況を確認し、振り替え輸送による乗客増に対応できるかを判断する。ここで、振り替え輸送の引き受けが可能と判断された場合に、A社に対して振り替え輸送の了承と、実施区間の協議が行われる。振り替え輸送の実施が決まると、両社の各駅に通達され、乗客へ案内される。
毎日のように行われる振り替え輸送は、その都度、この手続きを踏む。ああ、またいつものパターンだな、いつものようによろしく、という状況もあるだろう。しかし、この手続き抜きでは振り替え輸送は行われない。
逆に、安全施策を施した上で振り替え輸送を実施する例もある。9月5日、京急電鉄神奈川新町駅付近でトラックと快特電車が衝突、脱線した。終日、振り替え輸送が実施された。その日の夕方、振り替え輸送の混乱を見越したJR東日本は、午後6時15分頃から8時30分頃まで、京浜東北線の蒲田〜桜木町間の南行き電車を臨時増発している。増発するコストを負担してでも安全を優先したわけだ。
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