千葉県に甚大な被害をもたらした台風15号の発生から2週間が経過した。
いまだに停電に苦しむ方や、瓦れきの撤去などで苦労を強いられる被災者が多くおられるにもかかわらず、マスコミの関心は目に見えて落ちている。「危機管理の重要性が浮き彫りになった」なんて総括をしていることからも分かるように、ラグビーだオリパラだと明るい話題へ移っていく気マンマンなのだ。
というわけで、今後はテレビや新聞で被災地のニュースを目にする機会はガクンと減っていくわけだが、「被災地の戦い」はここからが本番と言っていい。
千葉県によると、県内の中小企業の被害額が300億円を超える。また、農林水産省も19日朝現在で農林水産関係の被害総額が316億円にのぼると試算し、今後も拡大していくという。つまり、建物の被害回復やインフラ復旧を乗り越えた被災者たちはこれから、「カネ」の問題に立ち向かわなければいけないのだ。
「ご覧ください! 家がペシャンコです!」「河川が今にも氾濫しそうです! あ、危ない!」なんて大ハシャギして去っていくマスコミの”劇場型災害報道”の弊害で、日本人は「目に見える分かりやすい被害」がおさまれば、自然災害は一段落ついたと捉えがちだが、実はそのあたりはほんのプロローグに過ぎない。
阪神淡路大震災や東日本大震災で、被災地の経済が発生から何年も冷え込んだ事実が示すように、自然災害の本当に恐ろしいのは、「カネ」がもたらす災い――地域に災害に端を発した構造不況が発生、それが長期化して被災者を経済的困窮においやり、いたぶり続けるということにあるのだ。
という厳しい現実を踏まえれば、これからの日本人がどうしても避けることができない「危機」が頭によぎる。それは、「自然災害で日本経済が破綻する」という最悪のシナリオだ。
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