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働き方改革、半数が「内容理解していない」 6割が「成功しない」 変わってほしいのは「給与」日本マーケティングリサーチ機構の調査

» 2019年09月30日 13時40分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 官民が一体となって取り組んでいる「働き方改革」。全国労働組合総連合がOECD(経済協力開発機構)のデータを基に発表した「実質賃金指数の推移の国際比較」によると、1997年の実質賃金指数を100とし、2016年と比較した場合、多くの国が成長しているのに対し日本は89.1。先進国の中でもマイナス成長は珍しく、その原因は高齢化や不況などさまざまあるが、労働生産性の低さも理由の1つに挙げられる。こうしたことを背景に、働き方改革をキーワードに幅広い分野で新たな取り組みが始まっている。4月に「働き方改革関連法」が施行されるなど、法整備も進む。その一方で、まだまだ一般には浸透し切っていないことが調査により分かった。

 日本マーケティングリサーチ機構(東京都港区)が9月30日、「働き方改革に関する意識調査」の結果を発表。関連法施行から半年が経過した今、生活者がどのように働き方改革を認識しているのかが明らかにされた。

 「働き方改革というワードを聞いたことはありますか?」という設問では、85.96%が「はい」と回答。メディアなどでも数多く取り上げられたことから、認知度は高まっているようだ。

認知度は高まっているが……

 その一方で、「働き方改革でどう変わるか内容を知っていますか?」という設問では、「完璧に理解している」が6.93%、「だいたい理解している」が42.82%。およそ半数が大枠を理解している。しかし、裏を返せば半数近くが働き方改革の実態を理解できていないことが浮き彫りになった。ワードの認知度は高まっているが、まだまだ「理解」までは及んでいないようだ。ちなみに4月の施行以降、年間5日以上の有給取得や残業時間の適正化などが、いわゆる「大企業」を対象に義務づけられる。中小企業へは猶予期間を経た後、適用されていく。

実態の理解は進まず

 「現在お勤めの会社の労働環境の中で、あなたが一番変わって欲しいと思うものはどれですか?」という設問では、「給与面」が43.96%でトップ。以降は「労働時間」「休暇日数」と続き、それぞれ21.16%と15.95%だった。

「給与」がトップ

 「今回の改革で労働環境が良い方向に変化すると思うか」に対しては、ネガティブな回答が目立った。「どちらかというと思わない」が41.36%、「全く思わない」が20.52%と、約6割が改革に対して懐疑的な結果となっている。

冷めた視線が注がれているようだ

 今回の結果について同機構は「今回の改革の3つの柱は『長時間労働の是正』『非正規と正社員の格差是正』『高齢者の就労促進』となっています。就業者が求めるものと政府の改革に乖離(かいり)が生じているのも、期待値の低さの原因なのかもしれません」とコメント。「仏作って魂入れず」とならないように、制度を理解したり、しっかり運用したりといった態度が求められる。

 調査は7月、全国の20代〜70代の男女1574人を対象に、インターネットアンケートの形式で行われた。

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