消費税は所得が低い人ほど負担が重い、とはどういう事か。これは支出に占める「生活費」の割合による。
食費、光熱費、通信費など、生きていく上で欠かせない支出を生活費と考えた場合、所得が少ない人ほど生活費の割合が多い。
筆者はFP(ファイナンシャルプランナー)として多数の家計を見ているが、これはもちろん十分に承知している。年収が500万円の世帯と1000万円の世帯は、生活費に2倍の差は無く、貯蓄にまわるお金の割合も収入が多い人の方が高い。つまり所得が低い世帯は支出に占める生活必需品の割合が多く、増税の負担から逃げられない。
一般的には、これをもって逆進性、つまり消費税は弱者に厳しいと指摘される。軽減税率が食料品に導入された経緯や、他の生活必需品にも導入すべきといわれるのもこれが理由だ。
消費税の負担は低所得者の方が重いといわれれば、もっともらしく聞こえる。しかし、消費税の議論がなされる時、もっと広げれば、税金の議論がなされるときは「負担」の話ばかりだ。
「負担と給付」といわれるように、集めた税金は当然さまざまな形で使われる。つまりは「給付」だ。消費税に限らず税金はどのように集めるか、そしてどのように使うか、負担と給付をセットで考える必要がある。
税金による給付=公的なサービスで、高所得者がどのように扱われているか知らない人も多いだろう。筆者が逆進性は気のせいと指摘する理由はここにある。結論からいうと高所得者の負担は極めて重く、冷遇されている。
先日、認可保育所は3歳から5歳まで無償化されたが、0歳から2歳までは有料だ。そして保育所は多額の税金が投入されているため、実質的に税金による給付である。
保育料は自治体によってかなり金額が異なるが、納めている住民税(区民税・市民税)によって決まる。住民税は所得で決まるため、高所得者ほど負担が増える。例えば筆者が事務所を構える荒川区であれば、区民税を納めている世帯はD1からD26まで、26の区分に分けられている。
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