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『ろくでなしBLUES』作者・森田まさのりが語る「『べしゃり暮らし』は一生描き続ける」宣言の真意森田まさのりの肖像【後編】(2/5 ページ)

» 2019年11月10日 05時00分 公開
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哲学者に泥棒 アシスタント時代の自宅

唐澤: 森田さんがはじめて東京に来られたのがおいくつでしたっけ?

森田: 18歳です。高校を卒業して上京しました。

唐澤: そして住んだのが井の頭公園のそばだったんですよね?

森田: 井の頭公園のそば。僕がアシスタントをしていた『北斗の拳』作者の原哲夫先生が吉祥寺に住んでいたんでね。「僕、1年で辞めますから」って言って入りました。

唐澤: 生意気ですね!

森田: そういう話を全部この本に書いています。高校卒業後に「4年計画」を立てていまして。1年目はアシスタントをやって2年目で読み切りを描いて、3年目で連載を持って4年目でお金持ちになるという計画を立てていて、だから1年でアシスタントを辞めなきゃいけなかった。

 連載を持つのは結局4年目になったんですよね。最初に住んだのが井の頭公園で、井の頭公園を渡った向こう側、歩いて1分ぐらいのところに住んでいたんです。大家さんの家の離れみたいなところに4部屋があって、そのうちの2階の部屋。トイレも台所も共同で風呂なしのところで、僕の部屋が4畳半だったんですけど、僕の部屋の下には哲学者が住んでいました。

唐澤: 哲学者?

森田: なぜ哲学者だと分かったかというと、哲学書がいっぱい並んでいた。その間に1つ『アクション・カメラ術』という本が置いてあって……。

唐澤: 昔ちょっと流行ったエッチなやつですね。

森田: 僕と哲学者と、1階の1部屋が大家さんの物置になっていた。その上には泥棒が住んどった。

唐澤: 泥棒?

森田: なぜ泥棒だと分かったかというと、僕テレビを持っていたんですね。14インチのちっちゃいテレビなんですけど、その人はテレビ持ってなかったんですよ。で、よくうちで一緒に見てたの。でも僕アシスタントをやっていたので、泊まり込みに行くじゃないですか。3日4日は泊まり込むので、その間その人はテレビを見れないじゃない。じゃ入ってていいですよと。勝手にテレビ見てる。こういう錠前と言いますか、番号合わせるやつ。これの番号を教えていたので勝手に入っていく。

 それで、僕は気付かなかったんですけど、なんか炊飯器とかラジカセとかを盗み出していたらしい。

唐澤: それ何で分かったんでしたっけ?

森田: その人が引っ越したあとに警察が来たんですよ。で、「●●という男を知りませんか」と。「お隣に住んでいました」と。「こういうものが質屋に入っていました」と。これ俺のやと。掃除機とかあまり使っていなかったので気付かなかったんですね。

 それで、後からその人の上司みたいな人がやってきて、示談みたいな感じで警察もやってきて……。調書取られたことあります? あれって警察が割と誘導して書いてくるんですよね。「こうこうですね」みたいな感じで。「あ、はい」みたいに答える感じで。そういう家に住んでいました(笑)。

phot

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