また、企業がリサーチを行う際、どうしても質問形式を取ることが多い。ただ、質問に対して、人間は「はい」と答えてしまいがちになるのだという。これを「イエステンデンシ―」といい、せっかく客観的な情報が欲しいがためにリサーチしているのに、恣意的な情報が集まりやすくなってしまう。
そこで、不満買取センターでは「日々の不満を何でもいいので聞かせてほしい」(伊藤社長)というコンセプトを掲げている。「調査に答える」といった受動的なものでなく、日々の“もやもや”や「あったらいいのに何でないんだろう」と漠然と考えるような自発的、かつ潜在的なニーズをすくい取るのが狙いだ。「聞かれても忘れていて答えられないようなところに、本来のニーズはある」と伊藤社長は話す。
さらに、商品ごとに不満を募集するのでは“モニター感”が出てしまうという理由から、不満買取センターでは「食品」「人間関係」「仕事」など幅広いカテゴリを設定している。非常に広いジャンルで不満を投稿できることから、「気持ちの整理用」として、日記のように使っているユーザーもいるという。
企業はこうした不満を、「N1分析」に活用している。N1分析とは、「N=1」、つまり不特定多数のターゲットや架空のペルソナを決めてマーケティングを行うのではなく、実在する1人のユーザーを分析しながら戦略を組み立てていく手法だ。実際にデータを見てみると、これまで想定していたニーズと異なったものが明らかになったり、ほんのちょっとしたところに不満を感じていたりとリアルな声が浮かび上がる。
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