【一問一答】ヤフーとLINE、米中IT巨大化への危機感 スマホ決済サービスはどうなる?「第三極」になれるか(2/3 ページ)

» 2019年11月18日 22時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

世界最先端の防災・減災サービスも可能に

――2社は異なる文化を持つ会社。経営やサービスの面で足並みがそろわないこともあるのでは。そうなったらどのように判断するのか。

出澤氏: プロダクトについては「プロダクト委員会」を設けて、徹底的に議論することにしている。合意ができない場合は、CPO(最高プロダクト責任者)が全ての事情を加味した上で決定する。また、すでに両社がやっている事業のすみ分けは、議論して決めていく方針だ。

――今回の経営統合によって、LINEがソフトバンクに飲み込まれるという見方もある。LINEらしさをどう保っていくか。また、これまでLINEが培ってきたスタートアップとのつながりはどうなるのか。キャリアの色が付いてやりづらくならないのか。

出澤氏: それほど心配していない。経営陣で非常に深い議論をしてきた。両社の良いところを出していける関係性になっていく。そして、LINEらしいモノづくりのスタイルには共感いただいている。全てが変わらないというわけではないが、みんなで協力しながらやっていこうという理解を共有できている。

両社の経営統合で何が変わる?

――ユーザーにとって、経営統合によってメリットはあるのか。

川邊氏: ユーザーファーストに尽きる。そうでないとあっという間にダメになる。実際の具体的なサービスについては統合後に考えていくが、それぞれのサービスは多くの人が使っていることから、シームレスなユーザー体験を提供できればより便利になるだろう。

 日本の社会課題、特に今年多く発生した災害に対しては、2社でできることがもっともっとたくさんあるのではないか。「Yahoo!防災速報」アプリと自治体などのLINEアカウントの連携によって、世界最先端の防災・減災サービスも可能になると考えている。

――それぞれモバイル決済サービス「PayPay」と「LINE Pay」を提供しているが、シナジーは生まれるのか。

川邊氏: 個別のサービスについては統合後に検討する。ただ、キャッシュレス決済を政府が後押ししているが、それでも現金支払いが7割という状況。そして、キャッシュレス決済の3割の中でも、圧倒的に多いのがクレジットカード、その次にICカード。モバイル決済は3〜5%しかない。まだまだ切磋琢磨して伸びていかないと全然だめだと思う。経営統合までの1年間は、まだまだお互いに競争していくつもりだ。

――モバイル決済サービスは消耗戦になっている。それも経営統合を後押ししたのか。

出澤氏: 個別の事象というよりは、全体の戦いを見据えた上で、今大きな手を打つべきということ。部分的な事柄としては当てはまるが、それが全てではない。もっと大きなことが起こっている。

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