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新社会人の8割がぶち当たる「入社後ギャップ」、防ぐための3ポイントとは学生も企業側にも深刻な悩み(1/5 ページ)

» 2019年11月26日 06時00分 公開
[小林祐児パーソル総合研究所]

編集部からのお知らせ

 本記事はパーソル総合研究所のコラム・レポートから抜粋・転載したものです。


 インターネット時代の就職活動市場は、完全な情報戦です。口コミサイト・就活ナビの乱立、メディアの報道...など、企業側、学生側に向けたありとあらゆる情報が飛び交っています。

 学生は志望する企業に入社するために、企業は要員計画に伴った学生を質と量ともに確保するために、日々尽力しています。そのニーズに合わせて、「面接テクニック」や「グループ・ディスカッションでの人の見極め方」「書類の書き方/書かせ方」「新しい就活/採用手法」などの就活・採用テクニックが毎日のように発信されています。

photo 大半の就活生が入社後に味わう「負のイメージギャップ」とは?(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 言うまでもなく、就職活動・採用活動は、学生から社会人への移行=トランジションを果たすための重要な活動です。その活動のための情報を提供する/利用する側に悪意があるとは思いません。ですが、それらの情報に取り囲まれて、学生と企業の双方が陥ってしまっているのは、「就活をうまくやること」「うまく採用すること」の自己目的化です。

入社後に味わう「こんなはずじゃなかった」

 そして、それら全ての努力を無に帰する最大の落とし穴があります。それが、就活、採用の「あと」に訪れる、「こんなはずじゃなかった」という入社後のイメージ・ギャップです。

 第1志望群の企業からいくつ内定をもらっても、入社できる企業は1つです。その表面的な「成功」は、入社後に「こんなはずじゃなかった」という経験で全て台無しになります。企業側にすれば、優秀な人材をいくら確保しようが、「こんなはずじゃなかった」「話が違う」と早期に辞められては、多大な採用コストが無駄になります。

 経営・組織論では、組織参入後の現実と事前イメージとのギャップは、「リアリティ・ショック(Reality Shock)」と呼ばれ、研究が蓄積されてきました。リアリティ・ショックは、就活と採用の目的を根底から覆す重要な概念であり、日本中のありとあらゆる新卒採用で起きています。

 しかし、残念ながら内定獲得/人材採用を第一に動いている採用担当者や就活生は、眼の前の目的に追われ、そのことを直視できていません。その意味で、リアリティ・ショックとは、誰しも気がついているのに手を打たない、「不都合な真実」です。

 情報過多な市場においては、客観的事実に基づく議論が極めて重要です。今回は、パーソル総合研究所がパーソルキャリアのキャリア教育支援プログラム、CAMPと共同実施した調査データ(※)を紹介しながら、リアリティ・ショックの実態と、それを防ぐ3つのポイントを紹介しましょう。(※全国の大学1-4年,社会人1-3年生合計1700人を対象とした定量調査)

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