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新社会人の8割がぶち当たる「入社後ギャップ」、防ぐための3ポイントとは学生も企業側にも深刻な悩み(3/5 ページ)

» 2019年11月26日 06時00分 公開
[小林祐児パーソル総合研究所]

成長実感のない若手ほどショック大きく

photo リアリティ・ショックの高さと入社後の状況(パーソル総研とCAMPの共同調査データより)

 若手の早期離職の話題になるとしばしば、「3年間で成長し、他の企業に転職していくのだから、それでいいではないか」という声が聞かれます。「離職」≒「卒業」と捉える意見です。当然ながら、早期離職者にはそうした人もいます。しかし、【図3】で示したように、成長実感がある層とない層を比べると、ない層の方が、リアリティ・ショックは明らかに高くなっています。また、リアリティショックは「仕事を楽しんでいない」こととも強くひも付いており、幸せな離職とは言い難そうです。

 リアリティ・ショックの概念の核心は、イメージとの「ギャップ」に源泉があることです。単なる入社後の実態の悪さではなく、事前の期待値との相互作用によって発生します。つまり、入社後の実態がどんなに素晴らしくても、学生の期待値がそれ以上に大きかったとすれば、リアリティ・ショックは発生してしまいます。逆にいえば、「事前のイメージ・期待の正確さ」ことによって防ぐことが可能ということです。

 言い換えれば、リアリティ・ショックを防ぐための鍵は、「入社前に、企業や組織・自分の適性をどこまで理解できるか」にかかっています。人間関係、組織の状況、求められる能力など、「入社前にその会社のことをいかに正確に知りえていたか」が分かれ道です。

 「内定を獲得すること」「希望の会社に入社すること」が就活の目的になってしまうと、この点がおざなりになり、面接テクニックやエントリー・シートの書き方など、表層的な就活テクニックに走りがちです。ゆがんだイメージで志望した企業に、多くの時間をかけて対策を練り、上がりきった期待値が、入社後にことごとく裏切られる...こうした就活・採用を毎年繰り返しています。

 学生生活から社会人へのスムーズなトランジション(移行)を実現するためには、陥りがちないくつかのパターンを避けなければいけません。多くの企業でリアリティ・ショックを生み続けている、「陥りがちな就活」のパターンを3つ、データを参照しながら見てみましょう。

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