「できないことをできると言わない」風土づくりへ 日産、内田新社長が会見アライアンス強化が不可欠(1/2 ページ)

» 2019年12月02日 19時25分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 12月1日付で日産自動車の社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した内田誠氏(53)が2日、就任会見で抱負を語った。元会長カルロス・ゴーン被告の逮捕から1年。この1年間で業績は悪化の一途をたどり、西川廣人前社長兼CEOも自らの報酬を巡る問題で辞任に追い込まれた。新経営陣はどのように混乱を収拾し、業績回復に向けて取り組んでいくのか。

日産自動車の社長兼CEOに就任した内田誠氏

チャレンジできる目標にワンチームで

 「長い年月で目標設定の仕方に問題が出てきた。できないことをできると言わせてしまう文化をつくってしまった」

 内田氏は、近年の完成検査問題や業績の悪化などを招いた企業文化についてそう振り返った。ゴーン元会長が進めてきた事業戦略は「間違っていない」としながらも、「(社員間の)横の連携や問題解決の意欲を失い、短期的な目標達成を追うようになった。インセンティブ(販売奨励金)に頼った販売に陥ったことがその典型的な事例」と反省を述べた。

 今後は従業員や取引先などとのコミュニケーションを図り、「チャレンジできる目標設定」に取り組むことで風土改革を目指す。「社員などの意見を反映させて、ワンチームで一丸となって取り組む。異論や反論が許される風土をつくっていきたい」と意気込みを語った。

 内田氏は日商岩井の出身。2003年に日産に入社し、16年に常務執行役員に就任した。18年に専務執行役員に就任した後は中国事業を統括。現地法人の総裁を務めていた。

 新体制では、最高執行責任者(COO)にルノー出身で三菱自動車のCOOを務めていたアシュワニ・グプタ氏(49)が就任。副COOには、生え抜きで生産技術や中国事業などを担ってきた関潤氏(58)が就いた。この3人を経営陣の柱として、意思決定のスピードを速めながら信頼回復と業績立て直しを目指す。

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