1杯750円の“レトロ喫茶” 但馬屋珈琲店が売り上げV字回復できたわけ立役者は元プロ格闘技選手(3/4 ページ)

» 2019年12月12日 07時00分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

「小さな感動」を大事に

 お客に合わせた店づくりを行う背景には、「もともとコーヒーが特別好きなわけではない」という倉田氏の性格も関係している。「周りに聞いてみても、『コーヒーが好きで喫茶店に行く』という人は2割くらい。残りの人は、お店で過ごす時間だったり経験だったりを楽しみに来ていると思う」と分析する。

1杯750円の「但馬屋オリジナル」

 だからこそ、店舗によって異なる客層に店を適応させ、よりよい体験を与えるために日々改良を続ける。ビジネスパーソンのランチタイム需要が高い南口店では、昼限定のメニューを展開。他にも、若い家族連れが多いエリアの吉祥寺店では、マタニティーマークを付けた人にはカフェインレスのコーヒーを安く提供したり、子どもも楽しめるようお絵描きノートを出したりしている。また、新宿本店ではお客の一人一人に合わせたカップを選んで提供しており、細かいところへのこだわりも大事にする。

 「飲食店が『おいしい』のは当たり前。但馬屋珈琲店では差別化要素として『小さな感動』を大切にしている」と倉田氏は話す。他にも、多くの店では植物性のものを使うコーヒー用のミルクには、より味わい深い動物性のものを使ったり、砂糖も1種類ではなく複数種類を用意したり、コーヒーの豆には最高級品質のものを使用したり――。枚挙にいとまがないが、倉田氏は「こだわりについてはわざわざこちらから言うことでもない」と笑う。「当店のブレンドコーヒーは1杯750円。常に『750円以上の価値を提供できているか』と考えながらサービスを提供している」

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