そもそも、PMJはなぜ、IQOSの販売を強化しているのか。背景には「ハームリダクション」という考え方がある。これは、健康被害や危険な行動習慣をすぐに断ち切ることができない場合、その行動習慣の害や危険性を可能な限り小さくしよう、という考え方だ。
喫煙者は減ってきているとはいえ、まだまだ多くの人がたばこを吸っているのが現状だ。そこで、よりリスクの低いIQOSへ乗り換えてもらうことで、喫煙者のリスクや周りへの影響を小さくしていこうというのが、PMJの考えだ。
とはいえ、IQOSは従来のたばこと比較して本当にリスクが小さいのだろうか。検証のため、PMJはさまざまな研究を重ねている。具体的には、「紙巻たばこを吸い続ける人」「紙巻たばこからIQOSに切り替えた人」「禁煙した人」の3パターンをサンプルに分析している。現時点では、紙巻たばこを続ける人と比較して、残りの2パターンの人では疫学リスクが低減することが分かっているのだという。
その他、紙巻たばことIQOSから発生するエアロゾルや副流煙をそれぞれ比較したりと、日々研究を行っている。飯田氏は「これらの研究を経て、紙巻たばこを吸い続けるよりは、IQOSを吸い続けた方が健康リスクを低減する可能性があることが分かってきている。引き続き、中長期的な研究を進めていきたい」と話した。
紙巻たばこよりもリスクが小さいからといってIQOSが完全にリスクフリーというわけでもないだろう。日本で高いシェアを誇るがゆえに、PMJには健康へのリスクなどを多角的に検証する大きな責任が生じる。今後の研究結果にも注目したい。
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