土肥: 日本百貨店しょくひんかんに足を踏み入れると、東京のスーパーでは見たことがないような商品がたくさん並んでいますよね。ただ、それだけではなくて、さまざまなイベントを開催している。お茶のセミナーを実施したり、七味をブレンドしてつくることができたり。このような企画は、どのようにして考えているのでしょうか?
簑島: ちょっと変わったモノでも、日本中で買うことができますよね。モノや情報があふれているので、お客さんに「秋葉原に行けば、おもしろい商品がたくさんあるよ。ユニークな企画を楽しむことができるよ」と感じてもらわなければいけません。
例えば、とある漁港の会社は、缶詰をつくる機械を購入しました。漁に出ると、さまざまな魚が獲れる。サイズが小さかったり、傷がついていたり、1匹しか捕れなかったり。そうした商品を流通させるのは難しいので、処分しなければいけません。しかし、捨てるのはもったいない。そこでどうしたのか。不ぞろいな魚を缶に詰めて、“何が入っているのか分からない缶詰”として発売したんですよね。
土肥: おもしろそーな香りがプンプン漂いますね。
簑島: ただ、そうした缶詰はスーパーなどで販売することは難しいんです。多くのスーパーは「サバの入った缶詰を50個ほしい」といった形で注文する。もちろん、ラベルには魚の品種などが明記されているのですが、大きさはバラバラ。一定数を確保することも難しい。商品はそのような特徴があるので、店側は「ちょっと……」となるんですよね。
そうした話をたまたま耳にして、このように感じました。漁港の現場では「なんとかしなければいけない」という危機感から、世界に一つしかない缶詰をつくろうという発想になった。じゃあ、自分たちにできることは何か。東京の秋葉原という場所を生かして、ユニークなモノに変換することができれば、多くの人が購入してくれるかもしれない。
例えば、1缶500円で、どんな魚が入っているのか分からない缶詰として販売するのはどうか。鯛が入っているかもしれないし、イワシが入っているかもしれないし、見たことがない魚が入っているかもしれない。いわば“宝くじ”のような感覚で商品を販売すれば、お客さんは興味を示してくれるかもしれません。
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