ゴーン氏がレバノンで会見を行った直後、森まさこ法務大臣が会見を行った。夜中の会見となったが、海外でゴーン氏の一方的な意見が流れてしまう前に日本の司法は適切であるとアピールする意図があったと思われるが「ゴーン氏は日本の裁判で無罪を主張すべき」、と言うべき個所を「無罪を証明」と発言して批判を浴びた。
翌日には言い間違いだったと訂正することになるが、いまだに訂正されていないものがある。それが検察の公表した「被告人カルロス・ゴーン・ビシャラの記者会見について」と題した書類だ。これはゴーン氏の会見終了直後に公表されたものだが、検察庁のWebでPDFの書類が現在も公開されている。
文書を要約すると、「裁判から逃げておきながら日本の司法を批判するとは言語道断、捜査は適正に行われている」といった内容で、検察としては当然の言い分ではある。しかしその文章には、森法相が「推定有罪がまかり通る日本なら無罪を証明しろと言い間違えても仕方ない」と散々皮肉られた、検察の推定有罪という姿勢がストレートに表れている。以下、一部を引用したものだ。
- 違法な手段で出国して逃亡したことからも明らかなとおり
- 事件関係者に口裏合わせを行うなどの罪証隠滅行為を現に行ってきた
- 検察は被告人ゴーンの犯した犯行について
- そもそも犯罪が存在しなければ、このような起訴に耐えうる証拠を収集できるはずがなく
- 被告人ゴーンは、我が国の法を無視し、処罰を受けることを嫌い、国外逃亡した
被告人カルロス・ゴーン・ビシャラの記者会見について(コメント) 東京地方検察庁 2020/01/09
750文字程度の短い文章だが、推定無罪などどこの世界の話かと言いたくなるような内容だ。ゴーン氏は罪を犯したのに裁判から違法な手段で逃げ出した、と明確に犯罪者であると書いている。
「そもそも犯罪が存在しなければ、このような起訴に耐えうる証拠を収集できるはずがなく」「処罰を受けることを嫌い、国外逃亡」の箇所に至っては、裁判が行われてすらいない段階で、「起訴できるだけの証拠が集まっているのだからゴーンは犯罪者だ」「起訴された時点で犯罪は確定している」と、清々しいほどに推定有罪のスタンスであることが見て取れる。
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「ほら、日本ってめちゃくちゃでしょ」 ゴーン氏の逆襲をナメてはいけないCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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