ゴーン騒動に200億円も支出した日産の判断は正しいのか?(後編)専門家のイロメガネ(8/8 ページ)

» 2020年01月31日 14時24分 公開
[中嶋よしふみITmedia]
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 森法相は言い間違いとして謝罪・撤回をしたが、果たしてこの文書は今後も撤回しなくとも問題はないのか。そしてレバノンの会見で「検察がマスコミにリークをすることは犯罪ではないのか」とゴーン氏が指摘したことにはどのように答えるのか。

 つい先日には司法制度について14の問答を公表するなど、ゴーン氏の逃亡で検察は蜂の巣をつついた騒動になっているが、企業犯罪が起きる度に検察は批判を受けている。

 かつてライブドア事件で強制捜査が行われ、ホリエモンこと堀江貴文氏が逮捕・起訴、そして有罪判決を受けた際には、ライブドアより何十倍も巨額な粉飾決算を行ったにもかかわらず経営者が逮捕・起訴すらされなかった企業名をプリントしたTシャツを着て収監されたことがあった。検察の不公平な扱いという面で堀江氏とゴーン氏の扱いは驚くほど酷似している。

 現在、子会社の循環取引が問題となっている東芝は、2015年にも過去7年間で1500億円の利益の水増しが発覚した。その際には7000億円を越える営業赤字、1万4000人に及ぶリストラと、歴代トップ三人による不正は想像を絶するトラブルへと発展したが、経営陣は誰一人として逮捕、起訴されなかった。 

 ゴーン氏に問題があったことは間違いない。国外逃亡までやってのけた以上、無実を証明することもできなくなった。しかしそれとは全く別の話として、西川氏が逮捕されなかった事、そして検察の摩訶(まか)不思議な対応は改めて検証されるべきだろう。

執筆者 中嶋よしふみ

保険を売らず有料相談を提供するファイナンシャルプランナー。住宅を中心に保険・投資・家計のトータルレッスンを提供。対面で行う共働き夫婦向けのアドバイスを得意とする。「損得よりリスク」が口癖。日経DUAL、東洋経済等で執筆。雑誌、新聞、テレビの取材等も多数。著書に「住宅ローンのしあわせな借り方、返し方(日経BP)」。マネー・ビジネス・経済の専門家が集うメディア、シェアーズカフェ・オンライン編集長も務める。お金より料理が好きな79年生まれ。

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