時短営業によって売り上げと利益はどう推移するのだろうか。立地によっても変わってくると思われるが、A店の結果は以下のようだった。1日の売り上げは19年6月の時短開始で日販(1日の売り上げ)が約5万円落ち込んだ(41.7万円に)。それが次第に回復し12月には44.1万円に(24時間営業を続けていた場合の予想売り上げと比べると−4万円)。
セブンは経営支援の一環として、時間帯別の客数や売り上げを加盟店に教えてくれる。それによるとA店では、昼(セブンの区分で午前10時〜午後4時)は売り上げに変化なし、夜(午後4時〜午後12時)は売り上げがやや増加、朝(午前0時〜午前10時)は前年比70%(30%減)だった。
Bさんは「10時間中6時間(午前0時〜午前6時)閉めている朝は、とくに土日の減少幅が大きいですが昼は変わらず。夜の増加分は、閉店前に前倒しで来てくれるお客様がいるためです」と話す。
不良品(廃棄)量は、きめ細かい値下げ(見切り)で売り切る努力をしているため、変わらず低い。人件費は、最初の6月こそ退職者の有給休暇消化で一時的に増えたものの、その後は月20〜25万円減少した。
19年1月と12月とはともに売り上げが日販約44万円だったが、1月の利益は43.4万円で12月は69.2万円。24時間営業店が対象の「チャージ(一般的にはロイヤリティーといい、加盟店が粗利から本部に払う納付金)の2%減額」という配慮は無くなるためその分、チャージ支出が増えたが、深夜のシフトに配置していた人件費が減ったのが大きく、店に残る利益は増えた。
とはいえ「便利」を最大の売りとする業態であるコンビニにとって、24時間はブランド価値の源ではないのか。止めた場合、“お客様”はどう受け止めるのだろうか。
セブン-イレブンを、否、日本のコンビニ・フランチャイズを立ち上げた功労者である鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問は『日経ビジネス』2月3日号のロングインタビューで、「コンビニは24時間営業を中核としているのに、ちょっと人がいなくなった途端にやめましょうというのはおかしいと思うんです」と強調している。コンビニに詳しい論者にも、そうした考え方は根強い。
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