新型コロナが、インフルエンザやSARSと決定的に違うのは、感染した人が症状が出ないまま、さらに感染を拡大させている点だ。そのため、一部の専門家からは、これまでの感染症のように自然に感染のピークを迎えて終息をすることなく、思いのほか長期化するのではないかという指摘も出ている。
そうなると当然、7月24日の東京オリンピック2020が危なくなってくる。症状はないものの、感染している恐れの高い中国人の観客がわんさかと訪れて、しかも日本人の観客の中にもわんさかといるかもしれない。そんな「サイレントパンデミックの震源地」に、やって来たい外国人が果たしてどれだけいるのか。
ヨーロッパ、ロシア、アフリカ、南米など感染者が少ない地域の人たちからすれば、「なんでわざわざそんな危ない場所に行かなきゃなんねーんだよ」というのが本音だろう。事実、既に欧米では日本旅行を控えるような動きや、現地の日本人をはじめとしたアジア人を「病気持ち」のように扱う差別が問題になっている。
そこに加えて、開催が危ないのは、オリンピックに対する「温度差」もある。日本では「オリンピック」は全国民が「感動をありがとう!」と熱狂する国家イベントだが、世界のほとんどの国では、そこまで大騒ぎをしない。というよりも、サッカーワールドカップなどに比べると、「え? そんなのやってたんだ」とシラけた反応をする人も少なくない、マイナーイベントなのだ。
それは裏を返せば、「今回は新型コロナで中止にしましょうか」となってもぜんぜんヘーキという国のほうが圧倒的に多いことでもある。こういうシビアな現実を踏まえると、日本政府が取るべき方針は決まっている。中国政府とガッチリとタッグを組んで、「いやいや、新型コロナなんてたいしたことないっすよ、みんなヒステリックに騒ぎすぎですって」と「火消し」を図ることだ。
つまり、安倍政権が中国人の入国制限に消極的なのは、習近平への忖度でも、中国の人たちの人権を配慮したわけでもなく、「五輪開催」という自国のメリットによるところも大きいのだ。
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