取材を通じて感じるのは氷河期世代は、心に目に見えない大きな傷を受けた人が多いということだ。取材を通じて多くの氷河期世代が口にする「自分に自信がない」という言葉はそれを象徴している。小さな挫折という傷は、いつしか深い致命傷となって、自己肯定感を奪っていく。その傷は、社会も国も、そして、自分自身でさえも信じるに値しないというほどにズタズタにされ、追いやられたという絶望である。
昨今、主に「正規雇用数を増やす」という方向で氷河期世代の支援が叫ばれている。しかし、統計上の単なる数値目標からは、美緒さんのようなロスジェネ女子が「これまで喪(うしな)ったもの」、そして彼女たちの傷を癒す術はきっと見えてこない。行政や企業社会は、機械的な「正社員化」のお題目だけでなく、彼女たちを「それでも正社員には戻りたくない」ところまで追い込んできたモノの正体を直視し、改める必要があるのではないだろうか。
筆者よりお知らせ :連載「ロスジェネ女子の就職サバイバル」では、実際に就職やキャリア遍歴で苦労や悩みを抱えたロスジェネ世代(1970年〜1982年生まれ)の女性で、取材させていただける方を募集しております。lossgenesearch@gmail.comまでお寄せいただければ幸いです。
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