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新卒向けサービスが多様化してもなぜ、「3年以内離職率」はずっと3割なのか連載・「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?(2/4 ページ)

» 2020年03月02日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

最近は「脱就職ポータルサイト化」も進む

 学生が就活で利用する求人媒体(広告)で最も大きいシェアを占めていると考えられるのが、リクナビやマイナビなどの就職ポータルサイトです。サービスが定着して以来、現在に至るまで、就職ポータルサイトの時代は続いています。しかし、ここ数年で新卒向け「人材サービス」は一気に多様化してきました。それら一連の動きを総称して、「脱就職ポータルサイト化」が進みつつあると見る向きもあります。

 脱就職ポータルサイト化を推進する代表的なツールの一つが、「逆求人」と呼ばれるサービスです。通常は、学生側から希望する求人企業にコンタクトをとることで採用活動が始まります。逆求人型はその流れが逆になり、求人企業の方から学生のプロフィールを見てアプローチします。

 この方式は、企業から直接に求職者である学生へ声をかけるので「ダイレクトリクルーティング」とも呼ばれています。就職ポータルサイトのように、採用基準に沿わない人も含めてエントリーを多数確保するのではなく、ピンポイントで採用基準にかなった学生とだけ接点を持つことができる点などが企業にとってのメリットです。学生としても、自身のプロフィールに一定の評価をしてくれた企業に絞って接点を持つことができるため、就活にかける労力を減らすことができるでしょう。

i-plugが運営する「OfferBox」。企業から学生にオファーする仕組み。利用企業では、最終面接の通過者率が高まっているという(出所:OfferBox公式Webサイト)

 また、学生を対象とした人材紹介(エージェント)も最近は利用されています。人材紹介というと中途採用のためのサービスというイメージがありますが、「売り手市場」といわれる昨今、新卒採用でも利用されるようになりました。ただし、求人媒体に比べて割高なサービスである点は中途採用の場合と同様です。他にも、新卒向け「人材サービス」には、兼ねてから定番の一つである「就職イベント」や「採用代行」などもあります。それぞれ理系に特化したり、業界に特化するなど特徴的でユニークなサービスも提供されるようになってきています。

 サービスのバリエーションが増え、選択肢が多様になっていることは学生にとっても採用企業側にとっても望ましいことだと思います。しかしながら、以前からずっと課題視されているデータがあります。

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