ここまで、組織ごとの残業を見てきた。「悪い残業」と「悪くない残業」があるのは、分かった。では「良い残業」というのは、果たしてあるのだろうか。「悪くない味」=「良い味」とはいえないように、「悪くない残業」=「良い残業」ではない。けっこう難題だ。
ただ、間違いなくいえるのは経営層にとって、「良い残業」というのはないし、あってはならないということだ。よほど突発的な仕事でない限り、従業員が残業しているというのはマネジメントのミスということになる。先ほど、グリーン組織を「日本企業の理想形」と書いたが、グリーン組織だからといって残業していいわけではない。サッカーを見ていても、最初から引き分け狙いだと分かる試合ほどつまらないものはない。
一方、働く側にとって「良い残業」というのはあるかもしれない。仕事が好きな人であれば、残業もいとわないだろう。また、「ある程度キリをつけてからじゃないと、帰りたくない」と、自らの精神衛生のためにする残業も、その人にとっては「良い残業」かもしれない。はたまた、「自分は夜型だから、就業時間が終わってからじゃないと本気が出ないよ」という人もいるだろう。こうした人たちを、「働き方改革」というお題目で一律に線引きしてしまうのは、残念なことだと思う。
冒頭に書いたように、これからは多様な「働き方」を受け入れるべき時代だ。こうした「規格外」の人たちをうまく活用してこそ、企業も成長できる。最近では、フレックス勤務という制度もあれば、裁量労働という制度もある。的確に活用しなければ、過度な「悪い残業」を生み出しかねない制度だが、うまく活用すれば弾力的な組織をつくることもできる。会社にできることは、「悪い残業」を徹底的に排除し、万が一従業員が残業をする場合でも「残業だけど、これは『良い残業』かもな」と思ってもらえるような環境をつくることだ。
……ちなみに、「残業を絶対ゼロにしたい!」という人がもしいれば、残業嫌いのカリスマ経営者がいる「レッド組織」に所属することだ。
企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。
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