いろいろあったが、それでも本番はやってくる。2月25日、「@ITセキュリティセミナー東京」の基調講演は、ヤフー 執行役の中谷昇氏だ。中谷氏は、インターポールがシンガポールに設けたサイバー犯罪対策拠点「IGCI」で初代トップを務め、19年からはヤフーのサイバーセキュリティ担当として指揮を執っている。登壇者はオンラインイベントをどう感じたのか、中谷氏に話を聞いてみた。
―― 急な変更にもかかわらず、快く引き受けてくださり、ありがとうございます。
中谷 困難な状況でも、テクノロジーを使ってできることを模索するというのは良いことだと思いますよ。
―― オンラインイベントに登壇してみて、どうでしたか?
中谷 非常に良いと思います。私の場合、国際組織に所属していたこともあり、画面の向こうに200人以上いるようなオンラインカンファレンスは何度か経験していました。遠隔地の方に情報を伝える手段として、オンラインイベントは有効ですよね。
―― 次回に向けて改善すべき点もいただきたいのですが。
中谷 「Q&A」があったほうが良いですね。質問を投稿できるコーナーを設け、登壇者と視聴者がインタラクティブにコミュニケーションできる仕掛けができると、お互いの理解も深まりやすいと思います。
それから、視聴者を飽きさせないカメラワークや画面の切り替え。これは、テレビやYouTuberのやり方を手本にしても良いかもしれません。また、カメラが1台しかない場合は、TEDのように登壇者が大きなスクリーンの前に立って身振り手振りで話すと、感情が乗りやすいし、より臨場感が出せるのではないでしょうか。
―― 一人での講演とパネルディスカッション、どちらが面白そうですか?
中谷 オンラインの場合は、画的に動きが出やすいパネルディスカッションの方が良いのではないでしょうか。次回のオンラインイベントでは、「国家安全保障のためのサイバーセキュリティ」をテーマにパネルディスカッションをしてみたいですね。不都合な真実をきちんと議論したいです。
TECH PLAYの例にもあったが、アイティメディアも視聴者数が想定来場数を上回った。仮に来場していたら会場に入りきらない人数である。
実は、準備段階で最も多く出ていた懸念が、「リアルイベントの熱気や雰囲気が好きで来場してくれる読者も多いはず。オンラインイベントで本当に見てくれるのだろうか」というものだった。結果は、われわれの不安をよそに、移動を必要とせず、PCでもスマートフォンでも視聴できるオンラインイベントの良さが発揮された形だ。やはり、何事もやってみないと分からない。
一方で、本番中に一時ネットワークが不安定になるなどトラブルもあった。すぐに復旧できたものの、視聴者からは、「ちゃんと配信できないなら中止にしたほうが良いのではないでしょうか」と、厳しいコメントもいただいた。
オンラインイベントには、ネットワークの問題が伴う。仮に視聴者側のネットワーク環境が万全でない場合でも、そのイベントの満足度は下がってしまうと考えられる。運営側が快適な視聴環境を提供するのはもちろんだが、互いにそういった問題があることを理解し合えると良いと思う。
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