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「経営者目線」より「第三者目線」を ブラック企業とみなされる5つのチェックポイント連載・あなたの会社は大丈夫? 求職者に「ブラック企業」と思われないために(8/8 ページ)

» 2020年03月31日 05時00分 公開
[新田龍ITmedia]
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経営者が持つべきもの

 これらに当てはまる点が多いほど、その会社は経営者がどう思っているかにかかわらず、周囲や従業員からブラック企業だと認識されていることになる。すなわち、「ノルマが厳しく、残業が常態化しており、それでいて薄給な、労基法違反の会社」ということだ。しかし、そんな特徴だけを挙げていったら、日本に存在するほとんど全ての企業が「ブラック」だと言えてしまうことになるだろう。では、同じような要素がある中で、ブラックと認識される会社とそうでない会社の違いはどこにあるのだろうか。

 究極的に言うと、それは経営者の「圧倒的な使命感」に帰結する。「世の中に価値を提供できる会社に」「顧客や株主、地域社会などのステークホルダーから支持される会社に」「従業員やその家族から愛される会社に」「……なれたらいいな」ではなく、「ならねばならない」という強い意志であり、「自分がやらねば誰がやるのか」と言い切れるくらいの強い思いがあり、具体的な行動に反映しているかどうかだ。

 「従業員から愛される会社になる」という使命があれば、「今は不十分でも、いずれは環境を良くしていきたい。頑張っている従業員にも報いたい」という姿勢が生まれ、組織内の日々のコミュニケーションにも反映することだろう。業務指示をとっても、「○○やっとけ!」ではなく、「この仕事は大変と思われるかもしれないけど、当社の発展のために必要なことだ。日々の働きをみていて、君にこそお願いしたいと考えていた」「やり切ってくれて本当に助かったよ、ありがとう」といったやりとりが行われるだけでも、受け手として仕事に感じられる意義は大きく異なるはずだ。そんな使命感が経営陣にあれば、日々の問いのレベルと視点はどんどん上がっていく。

「どうすれば、もっと従業員にいい待遇を提供できるようになるだろう?」

「どうしたら、この会社/業界の存在価値が向上し、優秀な人材をひきつけられるようになるだろう?」

「社会問題解決のために、当社ができることは何だろう?」

 世の中に価値を提供でき、多くの人から存在意義を認められた会社になれば、それだけ多くの人から応援されることになる。ひとえに経営者の使命感と、それに裏打ちされた実際の行動次第なのである。

著者プロフィール・新田龍(にったりょう)

働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト

早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員関連のトラブル解決を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)他多数。


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