では、なぜ我々日本人は、死者が多数でている国の人々たちや、医療関係者が「今回ばかりはマジでヤバイから不要不急の外出はやめて」という必死の訴えに素直に従うことができないのだろうか。
ご存じのように、我々は東日本大震災など被災地での秩序ある行動などで、よその国の人々から「世界一規律が正しい」なんてヨイショされることが多い。そのため、海外の人たちは当然、今回もその国民性がいかんなく発揮されていると思っている。例えば、J1柏レイソルを率いるブラジル人のネルシーニョ監督は先月、母校のメディア『グローボエスポルチ』にこのように述べている。
「ここ日本は、とても規律正しい人たちばかりだ。彼らは、大規模イベントを3月中旬までに中止するよう求める政府の要請に応じている」(Football ZONE web/3月15日)
そんな規律正しい人々なら、「不要不急の外出は控えて」という要請にも素直に応じるはずなのだが、現実はそうなっていない。こうしている今も繁華街は若者だけではなく、高齢者も普通に歩いている。
トイレットペーパーやマスクのために開店前からドラッグストアにきれいに並ぶようなマジメさや、大規模イベントを右にならえで中止をする従順さがあるのに、「外出を控えて」の呼びかけだけはなぜかガン無視――。この差はいったいどこからくるのか。
まず、考えられるのは「もし感染しても自分は重症化しないでしょ」と甘く見ている人が多いということだろう。感染拡大している他国でも当初このウイルスを、高齢者や基礎疾患のある人々だけが気をつければいいものだと捉えていた傾向があったので、日本でも同様の誤解が広まっていると考えられるのだ。
そこに加えて、ネットやSNSで情報を入手している人たちの場合、「新型コロナより経済活動が停滞するほうが怖い」という考えに基づいて、過度な自粛を控えている可能性も高い。
このような緊急事態下で、政府や自治体のスタンスを正確に報道しなくてはいけないテレビや新聞というマスコミではほとんど大きく扱われないが、実はネットやSNSでは、「外出自粛なんてやり過ぎだ」という意見も少なくない。そのような主張をする方たちの論拠はざっとこんな感じである。
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