クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2020年04月13日 07時20分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:新型コロナ恐慌がもたらすマーケット変化 (1/4)

新型コロナウィルスの登場によって、今まさに進行形で世界経済はパニックに陥っている。自動車産業も全体としては大変厳しい局面を迎えるだろう。5月発表の各社の決算は多くが赤字に沈むだろう。今手元にある材料で判断する限り、比較的復興が早いと思われるのは、米国と日本になるのではないか?

[池田直渡,ITmedia]

 新型コロナウィルスの登場によって、今まさに進行形で世界経済はパニックに陥っている。このパンデミックがいつどのような形で落ち着くのか、現実的な治療法が確立するのかどうかが分からない以上、未来を正確に指し示すことなど誰にもできないだろう。

 ただ、大きな流れは見えつつある。この30年間世界のビジネスが向かってきた「グローバル化」が急速に萎んでいくだろうということだ。

(写真提供:ゲッティイメージズ)

グローバル化までの流れ

 1989年、ベルリンの壁が崩壊し、ボーダレスの時代が始まった。冷戦によって東西2つの世界に分断されていた経済圏は、そこで1つになった。もはや国という枠組みは必要ないのではないか? そういう思想的な流れを代表してきたのがEUである。

 欧州は2度にわたる大戦を経て、1947年のマーシャルプラン(欧州復興計画)をきっかけに協調の時代を模索し始めた。戦乱によって疲弊した国家基盤の修復に着手する。

 そこへたどり着くまでのルートとして、押さえておかなくてはならないのは、米国の方針変更である。1823年以来、米国はモンロー主義(孤立外交主義)を取ってきた。1783年のアメリカ独立戦争に刺激を受けたラテンアメリカ諸国で独立運動の機運が高まり、欧州諸国とこれら植民地との闘争に巻き込まれないよう、米国はどの国とも与さない姿勢を取ってきたのだ。誕生間もない米国には、他国に干渉している余裕などなかったのだ。米国はモンロー主義という揺り籠の中で、着実に力を蓄えていった。

 しかし、この姿勢を改め、124年もの沈黙を破って、第二次大戦で荒廃した欧州諸国の復興を積極的に支援することを決めたのがマーシャルプランである。その決定が、人道主義的なものか打算によるものかは分からないが、欧州の復興を支援しつつ、米国経済は長足の発展を見せ、明確に覇権国家としての地位を強固なものにしていくのである。

 さて話は欧州に戻る。欧州はマーシャルプランによって親米国家と親ソビエト連邦国家に分断された。米ソによる冷戦が始まったからだ。欧州の西側諸国はこれによって結束し、特に長らく敵対関係にあった独仏両国が、手を結んで経済復興を模索する体制ができ上がっていく。

 具体的な協調の出発は1951年に成立した欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)だ。これが57年に欧州経済共同体(EEC)へと発展し、域内経済へと発展していく。ヒト、モノ、カネの移動の自由化が始まるのである。そして冒頭に記した通り、冷戦の終結を象徴するベルリンの壁崩壊後の93年にEUが発足する。

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