Twitterなどで、新型コロナウイルスに感染し、すでにアビガンを飲み始めた人、治療として使用したという医師の投稿もある。年齢は分からないが、これから子どもを持つ可能性のある年代の方もいるであろう。
先ほど引用した警告にあるとおり、アビガン投与後、7日間程度避妊するだけで本当に大丈夫なのかは、現時点では誰にも分からない。治験で試されたわけではなく、100%大丈夫であるとも、危険だともいえない状況である。
まさに「毒をもって毒を制す」という、医薬品の本質が表れているのがアビガンである。実際、アビガン投与の結果、速やかな解熱と低酸素血症の改善を認めたという情報もある。しかし実際の治療で、アビガンだけを投与しているとは考えにくい。他の薬も併用しているのであれば、どの薬が効いているのかは断言できない。副作用のない医薬品はない。
治験を経て、アビガンの承認申請が通り、新型コロナの特効薬ということになれば、治験時に比較して、多くの患者に治療で使われる事になるが、治験で報告されることのなかった新たな副作用が出て、不幸な予後にならないことを祈りたい。
医薬品の投与で大切なことは、患者に十分な情報が与えられること。そして、副作用と効果、デメリットとメリットを考えたうえで、その薬を使うかどうかを自分で選択できることである、と薬剤師の立場から強調しておきたい。
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