クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ヤリスのトレードオフから考える、コンパクトカーのパッケージ論池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/6 ページ)

» 2020年04月27日 07時13分 公開
[池田直渡ITmedia]

ようやく登場した実用的な自動駐車アシスト

 HVにオプションで設定されるアドバンストパークは、なかなかの優れものだ。縦列も並列もこなすこのシステムは、いわゆるパーキングアシストで初めて実用に足るものになった。カメラが捉えた場所にほぼ自動で止めてくれるシステムで、ハンドルのみならずアクセルも操作してくれるため、段差を乗り越えながらの駐車でも対応できる。

 枠線をカメラに認識させるところに、多少の慣れは要するが、いろいろな使い方ができる。手順を書いてみよう。

(1)サイドブレーキレバー横に並ぶ、3つのスイッチの一番前にあるアドバンストパークのスイッチを押すと、システムが作動を開始する。


(2)周辺の駐車枠から、カメラが自動で駐車枠を認識し、カーソルで確認を求められる。停めたい枠と違う場合、画面下のP+のボタンを押して、枠を切り替えるほか、右の分割画面から、縦列と並列を切り替えることもできる。


(3)カメラの視野内に枠線がないと、ダイヤローグが出るので、P+ボタンを押して駐車位置を指定する。視野内にクルマが収まる場合ならばいいが、視野外へはみ出す場合の誘導はなかなか難しい。


(4)枠が決まったら、確認ボタンを押してステアリングから手を離す。


(5)あとはダイヤローグに従って、シフトレバーとブレーキのみを操作すればいい 。


(6)自宅の駐車場など、枠線がない場所でも駐車位置を登録することで、画像から位置を判断してくれる。この画面では枠線のある駐車場だが、本来無い場所で使うもの。


 ここで面白いのは、戸建ての駐車場など、枠線がそもそもない場所でも、一度カーソルで指示して覚えさせれば次回からはアドバンスパークが使えることだ。登録できる場所は3つまで。

 かなりちゃんと停められるが、最初に書いた通り、カメラの視野範囲が捉えられる枠の位置関係の把握には少し慣れがいる。また段差があっても乗り越えるアクセル操作をシステムが行うため、カーソルの位置指定が悪いと、駐車枠の輪止めでも構わず乗り越えようとするので注意が必要だ。

条件が極端に悪くなければ、左右の枠線にほぼ均等に停めることができる

 このシステムはこれまでにないほど実用的で、またいじっていて楽しいので、お勧めしておきたい。価格はそこそこして、グレードによって7万7000円もしくは9万3500円だ。

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