首都圏の鉄道会社、決算はどうだった? 新型コロナの影響でこれからはやっぱり(5/6 ページ)

» 2020年05月11日 10時01分 公開
[小林拓矢ITmedia]

新型コロナに左右される相鉄ホールディングス

 相鉄ホールディングスは、収益こそ増加したものの、利益にはつながらない構造がうかがえる。グループ全体の連結営業収益は1.8%増、連結営業利益は16.4%減、連結経常利益は19.2%減、純利益は20.2%減となった。

 運輸業では、19年11月30日に相鉄・JR直通線が開業した。新車の製造や駅改良工事などもあり、そのための支出も増加した。運輸業の営業収益は0.5%増だったものの、営業利益は30.3%減となった。新線開業費用や減価償却費が増加したことによる。

相鉄・JR直通線が19年11月に開業(出典:相鉄)

 相鉄は、鉄道の輸送人員・運輸収入の前年同月比の推移を説明資料でグラフ化している。2月までは前年とほぼ同程度で推移していたものの、3月には輸送人員が19.6%減、運輸収入が21.4%減となっている。この流れがしばらく続くことが予想される。

 流通業では、収益力の向上に力を入れただけではなく、積極的な営業活動を展開し、営業収益は4.7%増、営業利益は2.1%減となった。

 そうてつローゼンの既存店売上高前年比の推移もグラフ化されている。1月まで消費は冷え込み、前年同期に比べ減少傾向だったものが、2月には5%増、3月には7.6%増と、興味深い数字を示している。

 不動産業は営業収益3%増、営業利益1.4%減と堅調である。ホテル業は厳しい。新規開業や改装など魅力の向上に務めたものの、営業収益は5.2%減、営業利益は59.7%の減となった。19年の12月から「フレッサイン」「サンルート」の客室稼働率が落ち始め、3月は32.6%となっている。

 JRへの直通が思わぬ厳しさをもたらしたといえそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.